
(『ソトコト』 2008年6月号掲載)

- 今回は、この連載初の2回目の登場となる野中ともよさん。現在はNPO法人ガイア・イニシアティブ代表。縦横無尽に活躍してきた彼女のベースは、地球人であること。彼女の今考えていること、そして新たに仕掛けているプロジェクトについてお話ししました。
野中ともよさんは、アメリカの大学院での勉強を経て日本有数のジャーナリストとして名を馳せ、2000年以降は企業の社外取締役や三洋電機の会長など、ビジネス分野でも活躍してきた。昨年10月からはNPO法人ガイア・イニシアティブの代表を務めている。今のNPOの話からハセベケンと一緒に仕掛けている+1(プラスワン)プロジェクトの話まで、熱く語り合いました。

- ハセベ
- このページは実は同じ人が出るのは今回が初めてなんですよ。前回は三洋電機の会長室で、お話を伺いましたが、今回は、今、どんなことをしているのかお話しいただけますか?
- 野中
- 光栄です(笑)。おかげさまであの頃の商品が環境大臣や総理大臣賞をいただきました。で、今は企業の枠を超えて、ガイア(地球)が喜んでくれることを思い、ガイア・イニシアティブというNPOを2007年8月に立ち上げました。
- ハセベ
- 前にお話を聞いた時、野中さんは「国境に関係なく、地球にいいことをやりたい」と、三洋電機で始めたインドでおこなっているプロジェクトの話をしてくれたけど、それは志半ばで終わったと思うんですが、その活動はNPOとして今もやっているんですか?
- 野中
- もちろん。報道もされていましたが、東京都の街中より富士山頂のほうがSOx(硫黄酸化物)など汚染がひどい。つまり、いくら日本で排ガス規制をしても、公害は天下の回りもので、中国やインドで化石燃料を燃やしたものが飛んでくる。地球全体で手をとりあって、地球人の地球人による地球人のための一歩を踏み出していかないと、小さな身のまわりの安心と安全も担保できない。国内、海外という見方じゃなくて、地球のことを考えないと、例えばこの渋谷村の食の安全も水の安全も、根本的な解決はできないと思うんです。ガイア・イニシアティブでは、とりわけインドの人たちと日本の子どもたち、産業界の人たちが、同じ地球という船の乗組員だという想いを、より密にとることが大事だと考え「ガイアビレッジプロジェクト」という、太陽電池などを使った持続可能なエコビレッジを造るプロジェクトを立ち上げ、対策を講じていこうと思っています。
- ハセベ
- 三洋電機の会長を辞めて肩書が変わった今も同じことを言って、同じことをやっているんですよね。本当にすごいと思う。もちろんやれることの質は変わってくると思うのですが、今度は今までのつながりを使ってさらに新しいことを仕掛けようとしている。
- 野中
- 何を目標に時間を使っているかというと、仲間と一緒に笑うため。そんな笑いの輪を広げたい。ガイア・イニシアティブのロゴは波紋になっているんです。池に石を投げると波紋が広がるでしょ。一番大きな波紋の際が、地球の際なんです。この波紋みたいに、ガイア・イニシアティブでは、気づいた人がホームページや活動でトントンとノックしてくれると、乗れる輪が必ずどこかにあるはずなんです。だから、どこでもいいから波紋に乗ってもらって、その輪を広げ、私たちが地球にできることしていきたいと思っています。
サミットに向けて始動!+1プロジェクト
- ハセベ
- そのパワーはとどまるところを知らないですね。でも、そういう風にみんなが笑顔になるには地球温暖化とか、いろんな問題がありますよね。その解決策として、今盛り上がっているのが今年の7月に開催される洞爺湖サミット。
- 野中
- 盛り上がっていればいいんだけど。残念。
- ハセベ
- お正月の新聞は、全紙、温暖化の話を大きく取り上げていたし、なんとなくサミットの影響が出ているとは思うんです。でも、もうちょっとできるはずだから、その企みをしようと、この前から野中さんとも盛り上がっているんですよね。

- 野中
- 私たちが提案しているのは「環境問題に対して何かやっている人もやっていない人も、新しく何か1つやってみよう」という+1(プラスワン)プロジェクト。
- ハセベ
- 具体的にはボディサインのかたちでこのキーワードをはやらせ、サミットの最後に首相が声明文を発表する時に盛り込んで、これを世界に向けたプロジェクトのキックオフにしたり。アーティストもアスリートも企業も個人も、気がついた人が全部、乗り込めるようなムーブメントにしたい。ゆるやかでいて、大きくて。
- 野中
- このムーブメントに参加すると何がどう変わるかも、ちゃんと見えるようにすること。あと、何といっても大事なのはその後。お祭り花火で終わらせないように、サミットを通り越しながら、ちゃんとプログラムをつくる。その具体的な方法の一つとして、世界中に鎮守の森を広めるために植樹をおこなう、「世界鎮守の森作戦」を立ち上げるのよね。
- ハセベ
- 渋谷区では「渋谷区鎮守の森作戦」をつくり、植樹した木の様子が、ウェブで常に見られるようにしようと思っています。+1は、まさにその言葉のとおり、やっているうちに、いろんなものがプラスされて広がっていくはず。今はその大事な核をつくっているところです。
- 野中
- 要するにこのムーブメントで、笑顔が広がるかどうかが大事よね。どの程度大きなスマイルになれたかが分かるように管理するのも大切。半端なムーブメントではなく5年、10年先を見られるようにしなければならないね。
- ハセベ
- 今、いろんな人が集まってきていて、どんどんそれぞれの+1が立ち上がりそう。頑張っていきましょう!