
(『ソトコト』 2007年10月号掲載)

- ハセベケンが広告代理店時代に仕事をした仲間たち、コピーライターの佐藤夏生さんと映像ディレクターの芳賀薫さん。green birdの広告を、この二人が作ってくれました。
green birdのコマーシャルが、実はあるんです。ソトコトとの共同広告。渋谷や原宿などの街頭ビジョンを中心に放映中。現在、流されているのは世界的に人気のパントマイム・デュオ「がーまるちょば」が出演しているもの。この作品を作ったのが、博報堂のクリエイティブディレクター佐藤夏生さんとThe Directors Guildの映像ディレクター芳賀薫さん。佐藤さんはハセベケンとは同期入社。芳賀さんも20代の頃ハセベと苦楽をともにした仲間です。
- ハセベ
- green birdの活動も、掃除だけじゃいたちごっこで意識を変えることはなかなかできない。参加してくれる人を増やすことがとにかく大事。ボランティアに行きたいと思わせるおもしろおかしいイメージにとにかくしたい。だからそういうコマーシャルを作ってきたんです。で、今回のものはかなり、評判がいい。パントマイムなので、見てすぐわかるし、インパクトも強い。外国の人によく面白いって言われます。
- 佐藤
- まず考えたのは、ポイ捨てする人が5%だとすると、その人たちに向けて「ゴミを捨てちゃいけない」って言うコマーシャルを作っても、捨てる人は聞く耳もたないだろうと。ほとんどの捨てない人は、ポイ捨てはいけないことだって、もう知ってる。だからストレートな物言いじゃダメだろうと。で、ポイ捨てするという行為がどう捨てない人から見られているかと。周りの目が抑止力になる、そんなような作りにしようということでしたね。ポイ捨て止めよう、だと捨ててる人に対してだけの言葉になる。だから、ポイ捨て反対、というコピーにしたわけです。

- ハセベ
- それだと多くの人に対するメッセージになるからね。
- 佐藤
- そして、捨てる人を単なる悪役にしない。むしろ、親しみのある、チャームのあるキャラクターにする。ポイ捨て、魔が差して、ついしちゃう、ということもあるんじゃないか。自分がそうなる可能性もあるんじゃないか。笑いの中で、ポイ捨て反対、やっぱりいけないことなんだと納得できる。そんな構成です。
- 芳賀
- あとはとにかく難しくしちゃいけない、すぐわかるものでないといけないということ。それに街頭で流すわけだから、目に入ってきたとたんにある程度わかるものにする。最後のオチまで見ないとなんだかわからないというものは作れないなと。
- ハセベ
- 実際一目でわかるものを作ってくれたね。
- 芳賀
- ちょっとタバコ捨てちゃうようなことは、誰にでも起こりえる。自分も、捨ててないつもりだけれど、絶対やったことないかっていえば断言できないようなところがある。そういう、つい捨ててしまう人を主役にしたんです。
- ハセベ
- いつもやってる広告の世界とは違うテーマだったと思うんだけれど、エコについてはどう考えていますか?
- 佐藤
- 最近はうちの会社でもチームマイナス6%とか、あるいはクライアントでもエココンシャスな会社も増えてきた。おのずと考えることは増えていますね。
- 芳賀
- ゴミもポイ捨てしていないつもりだし、ね。でも車は5000ccのに乗ってるな。その分は別の行動で取り返したいと思ってますけどね。
エコのスイッチの入れ方
- 佐藤
- 『不都合な真実』を見てすごいなと思ったのは、あれは今までだとテレビで流したりとか、上映会とか勉強会とか、そういうところで見せるような映像であった。言ってみればゴアという元政治家の主張ですよね。もっと言えば映画館にみんなが説教されにいくようなものじゃないですか。それを映画館で、お金を取って上映したということが凄い。それを世界中でやって、成功した。そうやって新しいアプローチをしていくことが大事なんじゃないかな。ただ正論を言っていても人の耳には届かない。例えばレジ袋の問題でも、袋に10円という値段をつけてみる。そうすることによって、レジ袋ってなんだろうってみんなが考えるようになるかもしれない。そういう社会全体で当たり前にしていくアプローチが必要ですよね。

- ハセベ
- 10円が気づきのスイッチになるわけだね。
- 芳賀
- エコがテーマだと、順目にものをいってしまうと、きれいごとみたいになってしまう。当たり前な正論というかね。だから、逆目に表現していくようなことも考えるべきじゃないかと思うんですよ。
- 佐藤
- なんか、自分はこれだけやってます、エコに気をつけてます、って自慢みたいになるじゃないですか。でもそういう時代は終わっていて、もっと実際に効果のあることを作り出す時代に入ってると思う。パタゴニアがやっているように、リサイクルの仕組みを作り出すみたいにね。それから考え方として、右肩上がりにどんどん生活がよくなり便利になるのが当たり前という価値観を変えること。to doじゃなくてto beというか。そうなってきている気もする。
- ハセベ
- 実際、秘孔を衝くような作業だと思うんだよね。長い時間かけて悪くなっちゃったものはそう簡単には直らない。時間をかけていい方向にゆっくりと持っていく。それにしても、広告の最前線でばりばりやってるい2人がそんなにエコのことをちゃんと考えてるなんて思わなかったよ。そういう時代になったんだなあって、ちょっと感動しちゃいましたね。今後とも、よろしくお願いいたします。