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ハセベ:
すごいですね、春に伺ったときからまたずいぶんと変わりましたね。
山本:
少しずつ進めているんだけれど、まだ3年目だからね。20年計画だから、このエコ・ファームは。
ハセベ:
ゴルフ場になる予定だった土地を買われたんですよね。
山本:
開発会社が倒産して、ゴルフ場にならなくてすんだんだよ。私もハセベくんもゴルフはやるけれど、日本でゴルフ場をこれ以上増やす必要はまったくないでしょう。特にこの土地は、本当の照葉樹林、日本の宝である自然が手付かずに近い状態で残っている。その財産をしっかりと守ること。ポール・マッカートニーが英国の森を買い取る運動をしていましたが、それにヒントを得ました。
ハセベ:
照葉樹林を守る、ということはもちろんそうですが、「ファーム」のほうにはまた深い思惑があるんですよね。
山本:
そうですね。果樹園や田んぼ、畑などを造って有機の作物を作り、食糧を確保すること。これが大事なんです。私は本気で、20年というスパンで考えると、食糧危機は現実化すると考えています。日本のカロリー換算で40%という食料自給率の低さは恐ろしいものがあります。その上、消費する際、余った食料を無駄にしている。有機の肥料は足りないんです。残飯は肥料に使えるのに、いたずらに無駄にしている。一事が万事、そんな具合です。自給自足できる体制を作らなければいけない。少なくとも私の店、まだまだ増やすつもりですが、そこではしっかりと安全で栄養豊富なものを提供しつづける。そのための計画がはじまったばかり、というところですね。
ハセベ:
山本さんは、不動産事業や石油事業、そして食品事業などを幅広く展開されているわけですが、環境について、非常に深く考え、事業や活動にもそれが反映されていますよね。サービスステーションにソーラー・システムを敷設したエコ・サービスステーションを展開されたり、アメリカ先住民の土地の食材を輸入する活動をされたり、表参道や原宿、永代橋に展開しているベーカリー・カフェでも有機の食材にこだわられたり。
山本:
エコ・ファームはもちろんエコロジーということを考えているわけだけれど、私に言わせればエコロジーとエコノミーは同じなんですね。考えるベースは街や住環境や自然環境をきれいにすること、ものを大切にすること、経費を節減すること。少なくとも15年から20年というスパンでメンテナンスをしっかりと考えること。エコロジーを突き詰めていくことが新しいエコノミーを生み出す、と若いころからずっと考えてきたんだね。
ハセベ:
そしてこのエコ・ファームは、地元の農業の方々とも協力してやっていこうとされていますよね。技術を教えてもらったり、さまざまな交流をされている。そしてぼくも春にタケノコ掘りに来ましたけれど、原宿という街で生活している人間が、ここにやってきて農作業を手伝ったり、地元の神社の掃除をしたりする。そういう、街と生産地の交流のチャンネルにもなりますよね。
山本:
そう、消費者と生産者がお互いの顔を知ること、ライフスタイルを知ること、それは本当に大事なことなんです。食材を生産してもらい、消費する側は有機肥料などを提供することで、サイクルができます。それが理想的なんですが。
ハセベ:
表参道は、世界でも注目される文化、情報、ファッションの発信基地になっていると思います。そこから、山本さんのエコ・ファームの情報が発信されていくということには大きな意味がありますよね。
山本:
表参道は、やはり明治神宮の表参道ということで、あの森が非常に重要なファクターになっていますね。八十数年前に、2万人の人が2年かけて造ったという人工の森ですが、実に素晴らしい。あの森があることが、原宿という街をどれだけ豊かなものにしているか。表参道という道路も、当時としては大変広い20間という幅の道路を1キロ、青山通りまで東南の方向に造った。夏至の正午に太陽が頭上にくる、大変明るい設計。電気配線は地下ケーブルですし、大変な先輩たちがいたわけです。だから今でも世界に通用するんですね。
ハセベ:
本当に自然と街に対する哲学というか、大きなビジョンがないとできないことですよね。
山本:
そう、そしてそこにはこの街というローカリティを大事にする考え方があったわけです。昔は、ちょっと海外へのコンプレックスがあったのでしょうか、商店会も「原宿シャンゼリゼ会」などと言ってましたが、それは違うんじゃないか。私が理事長になったときに、名前を「欅会」に変えました。
ハセベ:
そうやって、ローカル、自分の脚元をしっかりと見据えたところから、食料のこと、生産地のこと、日本のことを考えていくことが、地球全体の環境のことについて考えることに自然となっていくんですね。
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