volume 87 (『ソトコト』 2011年1月号掲載)
今回の対談相手は、新たにグリーンバードの副代表として就任した横尾俊成さん。 会社を辞めて飛び込んできたという熱き人物だ。さて、その素顔とは一体!?

 東京・渋谷区表参道にあるグリーンバード事務局。ここに、2010年11月から新たに副代表として就任した人物がいる。横尾俊成さん、29歳。広告代理店の博報堂に勤めながら、08年にはグリーンバード赤坂チームを仲間と立ち上げ、初代リーダーとして引っ張ってきてくれた。そしてグリーンバードの活動にもっと深く関わりたいと、会社を辞めて副代表としてグリーンバードに入ってきたのだ。
 そんな横尾さんは一体どんな想いを抱いているのか。さっそく社会に対する熱い想いと、今後の抱負を語っていただきました。

ハセベ
もともとの出会いは、横尾くんがメールをくれたんだよね。
横尾
はい。僕が広告代理店に入社した後、ハセベさんの活動を雑誌で知り、同じ会社の先輩だということで興味を持ったんです。それで08年2月にシブヤ大学でハセベさんの講演を聞きに行ったら、すごく面白くて。「ぜひもう少し話を聞かせてください!」とメールを送り、後輩とハセベさんに飲みに連れていってもらったんです。で、飲みの席でグリーンバード赤坂チームを立ち上げることを決めました。
ハセベ
思えば赤坂チームはかなりのノリで立ち上げたよね(笑)。でも、そういう風に社会貢献活動に興味をもったきっかけには何かあったの?
横尾
大学時代、アメリカに留学していたのですが、帰国直後に9・11事件が起こったんです。それまでは遊んでばかりだったんですけど、事件の報道を見て「遊んでばかりではダメだ」と思い直して、真面目に勉強に取り組むようになりました。国際政治を勉強したことから、国際問題のNPO・NGOなどにボランティアやインターンとして参加したり。ですが、いざ就職しようと思ったときに、NPO・NGOの人材もお金もなく困窮した状態を見ていたので、どんなによい活動をしても、このままではこの業界は大きくならないなと……。だったらまずはこんなにも素敵なNPO・NGOがあるということを世の中に伝えるのが大切。それにはコミュニケーションという武器が必要だと考え、広告代理店を選んだんです。
ハセベ
すごく戦略的にやりたいことを実現させているね。でも確かに、NPO・NGO業界ってマーケティングや経営もスキルがあまり長けていないところが多い。だから新人が入り込むにはなかなか難しい業界だと思う。僕もそうだったけど、ある程度違う業界でスキルを得てからのほうが、成果はつかみやすいだろうね。
横尾
そうですね。社会の課題を解決することをビジネスにする部署にいて、官公庁・団体やNPOなどの担当となり、いろいろと勉強をさせてもらいました。でも、やはり個人でも何かやりたくて。

めざせ、100チーム!

ハセベ
で、赤坂チームの初代リーダーとなって、そして今回副代表として抜擢されたわけだけど……会社を辞めるのに迷いはなかったの?
横尾
もちろん、ソーシャルビジネスに関わる仕事をしていたので、とても楽しかったし不満もなかった。でも、僕が入社した05年はちょうどITベンチャーブームが起こった時期で。「本当に好きなことするには起業しかない!」という考え方が広まった時期だったので、心のどこかでいつか独立したいという思いがあったんです。ちょうど30歳になる年だし、ハセベさんと同じように、思い切って会社を辞めました。
ハセベ
というわけで、大型新人が事務局に入って来たわけなんだけど、これからグリーンバードをどういう風に動かしていきたい? 今までは代理店という受注産業の中にいたけど、今後はやりたいことが何でもできるよ。もちろんその分責任は増えるけど。
横尾
客観的に見てグリーンバードってすごく成功しているNPOだと思うんです。コミュニケーションも経営も他の団体と比べるとうまいし、スタッフもボランティアもとても楽しそう。ですからこのよさを保ちつつ、せっかく全国に30チームあるのだから、もっと街づくりにコミットさせる仕組みで、街のプロデューサーとして活動していければと思っています。というのも、これまで街を担ってきたのって、商店街などの高齢者が多かった。でもグリーンバードは20〜30代の若い人たちが多いので、次の担い手として可能性を秘めている。そうやってみんなの力を生かしてそれぞれの街づくりをしていきたいです。
ハセベ
どんどんやってください! もともと僕がグリーンバードを立ち上げたとき、「とりあえず10年続けよう」と思ってはじめたんです。特に表参道のような街を見ていると10年続く店って難しい。企業でも、10年、20年続いている会社は意外にも少ない。そういう意味では10年って一つの壁だし、それを乗り越えて続けていくことが大切だと感じていて。でも活動を続けるには、10歳下、20歳下の人材が入ってきてくれないとサスティナブルにはならない。そういう意味では、僕より10歳年下の横尾くんが入って来てくれたことはとても嬉しい。僕がはじめた10年と、もっと違った10年を横尾くんたちがつくり上げていくことを期待しているよ!
横尾
今の世代の若者は、きっかけがあれば何かしてみたいと力があり余っている人が多い。だから僕らが力を合わせてアクションを起こせば、必ず何かが変わる。そうやって盛り上げていき、今後、新卒の就職の選択肢としてNPOやNGOが増えるような社会をつくっていきたい。そして将来的にはグリーンバードを100チームまで増やそうと思っています!
●よこお・としなり
NPOグリーンバード副代表。1981年生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科を修了後、2005年、広告代理店の博報堂に入社。自動車やアパレルメーカー、損害保険会社、官公庁・団体、NPOなどを担当する中で、社会課題解決のビジネス化に尽力。2010年10月に博報堂を退社後、NPOグリーンバード副代表として就任。 twitter:ecotoshi http://www.ecotoshi.jp/
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ