volume82 (『ソトコト』 2010年8月号掲載)
今回の対談のお相手は、日本ラグビーフットボール協会の比嘉智也さん。 一見無縁そうな(!?)ラガーマンたちと街のお掃除。
さて、そこに秘められた熱い思いとは?

 2008年6月に新しく設立されたグリーンバード「外苑チーム」。現在、外苑チームでは、日本ラグビーフットボール協会(以下、ラグビー協会)の協力により、掃除を軸にしたさまざまなコラボ活動を展開している。今回は、ラグビー協会の企画担当であり掃除の仕掛け人である比嘉智也さんにお話を聞くことに。さっそく、ラグビーのメッカ、東京・外苑前にある秩父宮ラグビー場に行ってきました。

ハセベ
もともと比嘉くんとは、外苑チームを立ち上げるときに掃除に来てくれたのがきっかけで出会ったんだよね。最初にラグビー協会が参加してくれたとき、チームや個人じゃなくて協会としてがっつり参加してくれたのが印象的で嬉しかったなあ。でも、なぜ掃除をしようと思ったの?
比嘉
 
自分たちこそがゴミを出している当事者だと思ったんです。ここ秩父宮ラグビー場で試合をして観客を集めているがために、ゴミが集まって外苑の街を汚しているんじゃないかと。そこで、この街にお世話になっている団体のひとつとして意識をもっと持ったほうがいいだろうと考えて、ラグビー協会として掃除に参加することにしました。また、協会内のインターン生などの若い人たちにも、エコの気持ちを植えつけていきたいと思ったのがきっかけです。
ハセベ
最初は上司にどうやって説明したの?
比嘉
とにかく行動にでました。で、「定期的に人がいなくなるけど何をしてるんだ」、と言われ、「いや、ボランティアで掃除を」と答えました。そしたら、あっさり「おお、もっとやれやれ」と。
ハセベ
なるほど(笑)。そのおかげか、最近は、外苑の街を掃除するだけでなく、スタジアム内の清掃に関わったり、ラグビー協会とさまざまな活動をさせてもらっているよね。
比嘉
そうですね。試合後にスタジアム内の掃除をすることから始まり、去年の日本代表試合のときにはグリーンバードのビブスを着て国旗入場に参加してもらったり、場内のビジョンでソトコトとグリーンバードが一緒にやっているCMを流させてもらったり……など。おかげさまでいろいろとやらせてもらっています!

自己犠牲の精神を掲げて

ハセベ
やっぱり地道に活動するなかで、周りの反応は変わった?
比嘉
変わりましたね。現在、外苑チームは隔週金曜日の10時30分から掃除なんですけど、最近、参加できないスタッフはみんな申し訳なさそうにしています。今までは「忙しいから」といって断る人も多かったけど、今年中に月に一回はラグビー協会全員参加の日をつくる予定です。これは大きな前進です。だから、僕自身も絶対に金曜日の午前中は打ち合わせを入れません。自分が言ったのにやらないのは示しがつきませんから。あと、最近は商店街の人たちが、挨拶してくれたり差し入れをくれたりと、徐々に定着してきています。
ハセベ
いい反応だね。スタジアムにくる人たちは?
比嘉
最近は本当にゴミがスタジアムからなくなったんです! これまでは試合後に掃除をしていたんですが、去年から、オリジナルのゴミ袋を配って「ゴミは袋に入れて持ち帰ってください」と呼びかけたんです。そしたら、本当にゴミがなくなりました。
ハセベ
しかもその袋は、わざとわかるように、日本代表ユニフォームと同じボーダー柄にしたんだよね。
比嘉
そうです。もし配った袋が駅に捨てられたりしたらラグビー協会にクレームがくる、それは覚悟のうえでした。でもラグビーのお客さんは熱くてきちんとした人が多いので、見事に持って帰ってくれて、嬉しかったですね。
ハセベ
ところで、そもそも環境について興味をもったきっかけは何だったの? 昔はどういう子どもだった?
比嘉
ラグビーを高校1年の後半にはじめたのですが、それまでは帰宅部のエースでした(笑)。でも、ラグビー部に入って、ラグビー部が文化祭や体育祭など学校行事を動かしているのを見て変わりました。やらないよりは文句言う前に何でもやってみろ、と担任の先生から言われたのもあって。その精神が今でも生きているのかもしれません。
ハセベ
確かにその精神はつながっているね。
比嘉
ラグビーには「自己犠牲」いう言葉があります。すなわち、自分の身を挺してボールを取りにいく。そういう意味では自分の身を挺して街を綺麗にすることは、どこかで繋がっていると思います。
ハセベ
確かにね。最初、ラグビー協会ってすごく難しいイメージがあったんだ。でも、よくよく考えると僕のまわりでラグビーをしている人は、壁をぶち破って突き進むタイプが多い。それって実はラグビーのスタイルそのもの。身を削ってボールを取りに行って誰かに託す、という気持ちをみんな持っていると思う。では最後に、今後のビジョンを教えてください。
比嘉
やはり、各地域、チームごとに掃除をやっていってもらいたいですね。あとは日本代表の選手たちにももっと掃除に参加してもらったり。今は女子ラグビーも盛り上がってきているので、徐々に掃除にも参加してほしい。やはり、ラグビーというスポーツをどうやって皆さんに興味を持ってもらうかが課題なので、いろんな角度から自分たちの活動をアピールしていくべきだと思う。また、2019年には、日本でラグビーのワールドカップが開催予定なんですが、そのときはグリーンバードが解散してもおかしくないくらい日本中からゴミがなくなっていると嬉しいですね。
●ひが・ともや
日本ラグビーフットボール協会 事業企画プロモーション部。1977年生まれ。99年同協会へ入社。2003年までの5年間日本代表スタッフで現場を経験し、同年10月より現在の部署へ。大会運営・告知を担当しながらグリーンバード外苑チームには設立時より参加している。http://www.rugby-japan.jp/
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ