volume 77 (『ソトコト』 2010年3月号掲載)
今回の対談のお相手は、
グリーンバード千葉チームのリーダー・単駆さん。
ラッパーとして千葉のクラブシーンを盛り上げるかたわら、
日中は商店街周辺でゴミ拾いを行う、
かなり異色な(!?)リーダーです!

 2009年5月30日に新しく誕生したグリーンバード千葉チーム。リーダーを務める単駆さんは、普段はヒップホップグループ「Hustlaz Latte」に所属し、千葉を中心としたインディーズ・シーンで人気を誇るラッパーだ。そんな単駆さんを慕う音楽仲間やアーティストがこぞって集った千葉チームは、掃除メンバーも個性的で、毎回の活動もとにかく熱くておもしろい! そこで今回は、チームの拠点であり、音楽仲間たちの”たまり場”でもあるショップ『STARNITE CLOT HING』を、ハセベケンが電撃訪問。クールでシャイだけど、とっても熱い新米リーダー・単駆さんの現在の心境を語ってもらいました。

ハセベ
もともと何でゴミ拾いをしようと思ったの? ヒップホップと掃除は結びつかないけど……。
単駆
昔から、音楽を使って千葉を活性化させたいという思いがあったんすよ。それで、仲間たちと「BROTHER」っていうプロジェクトをつくったりして。でも地域を活性化させるには、自分たちだけでやっても無理で、土地のいろんなものを絡めなきゃいけない。しかも、こんな見た目だから、一般の人との壁が厚い。じゃあ、まず商店街の人たちに歩み寄ろうと思ったときに、商店街が清掃活動をやっているのを知って参加したんすよ。でも、商店街の掃除は年に数回しかないので、そんな建前みたいな関わり方じゃダメだなと。だったら、自分たちでやろうと思ったときに、千葉パルコの店長から「グリーンバードが新しく千葉支部をつくりたいと言ってるけど、やらない?」と話をもらって。そのときはグリーンバードのことを知らなかったので、一度表参道の掃除に参加したんですよね。そしたら、ハセベさんが「ロックが足りねえからお前らがロックを注入してくれ!」と言いだして。すげえ、この人ロックだ! と思って、じゃあやろうと。
ハセベ
あはは(笑)。グリーンバードも少しずつ大きくなってきて、最近”いい子ちゃん”と思われる参加者が増えてきたんだよね。もちろんそれは悪いことじゃない。でも、もう少しエンターテインメントとして面白おかしく見せたほうがいいと考えてて。そんなとき、単駆たちが来たんだよ。で、この風貌を見て「よしきた!」って思った(笑)。最初は地元の商店街の人たちは、単駆たちが掃除に参加したのを見てビビッてたでしょ?
単駆
最初は超ひどかったっすよ。掃除に参加したら、「おまえたち落書きしてる集団だろ?」とまで言われて……。
ハセベ
まあ、普通はそう思うよね(笑)。その後、千葉チームが去年の5月からスタートして半年以上経ったけど、どう? 周りの反応は変わった?
単駆
変わりましたね。この前、商店街の理事長が「おまえたち昔のビートルズみたいなもんだろ? 50年後くらいにおまえらの曲とか教科書に載るかもしれないもんなあ」と言い出して。

変化球のほうが伝わる

ハセベ
すごい変化だなあ(笑)。ゴミの量はどう?
単駆
少しずつは減っていると思いますね。参加者もずいぶん増えたし。でも、ゴミを捨てる人はなかなか減らないし、減ったとしても新しく捨てる人が出てくるから、そこまで急にキレイにはなってない。まあ、俺だって昔は平気でポイ捨てしてたから人のことは言えないけど。でも、少しずつポイ捨てする人たちの意識を変えていければいいとは思ってます。
ハセベ
ところで、さっき「昔はポイ捨てしてた」と言ってたけど、止めたきっかけは?
単駆
音楽をつくってくれている仲間がいるんですけど。昔、俺がタバコをポイ捨てしたら、そいつがそのゴミを拾ってるのを見て。理由を尋ねたら「フィルターはね、残るんすよ」って。それを聞いて「おお……」と思って。そこからポイ捨ては自然としなくなりましたね。
ハセベ
なるほど。友達の姿を見てドキッとしちゃったわけなんだね。でも、やっぱりそうやって自分で気づくことが大事だと思う。例えばグリーンバードも「ポイ捨てするなよ」とは直接は言わずに、「ポイ捨てカッコ悪いぜ」と言う。そうやって、直球じゃなくて変化球で表すほうが上手く伝えられるし、相手をドキッとさせられると思うんだよね。
単駆
見てる奴はちゃんと見てますしね。だから最近、ここら辺のクラブでゴミが減ったんですよ。俺らがポイ捨てしないのを見て、同世代でポイ捨てしないやつらが少しずつ増えてるんだと思う。
ハセベ
確かに、ゴミを拾う姿を周りに見せることで、少しずつポイ捨ての抑制につながっていくよ。しかも単駆たち目立つしね(笑)。それにしても、クラブでゴミが減るってすごいなあ!そうだ、せっかくライブやってるんだから、単駆たちの音楽に、何かメッセージを乗せるのは?
単駆
そうっすね。グリーンバードの南信州チームにも音楽やってるやつがいて、そいつらと曲をつくろうかって言ってて。ただ、あまり掃除やポイ捨てのことを主張しすぎてもダサいから難しいけど。
ハセベ
確かに、上から目線で偉そうになってしまったら意味ないしね。でも、今年は何か大きなことやりたいよね。千葉だけでなく、他のチームと一緒にさ。全国でクラブイベントとかやって、単駆に歌ってもらいたいな! 今後の目標って何かある?
単駆
確かにツアーやったら面白そうですね。目標……まあ、別に社会を変えたいとか大げさなものはないけど、音楽も掃除も続けていきたいっすね。何でも続けることが一番大変だし、近道だと思うから。
ハセベ
よし、じゃあライブやろう。今後もエンタメ担当としてグリーンバードを盛り上げてくれることを期待しているよ!
●たんく
ラッパー。地元神奈川県での活動を経て、2000年、千葉に上陸。07年、千葉を代表するCREWの一つ"Night Hustler Crew"(NHC)に加入。数多くのイベント企画、運営に携わる。08年、地元活性化プロジェクト"BROTHER"を発足させ、グリーンバード千葉チームのリーダーに。同年CrewのCoda Highbrow、Y氏、DJ ケンイージーと"Hustlaz "Latte"を結成。千葉を中心にライブ活動を開始。春に新作音源をリリース予定。
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ