volume 75 (『ソトコト』 2010年1月号掲載)
今回の対談のお相手は、代々運送業を営む
『ウインローダー』の3代目社長、高嶋民仁さん。
不用品を回収してそれをリサイクルや
オークションでリユースするという「エコランド」事業を
立ち上げ、ゴミゼロ運動に貢献しています!

 二人の出会いは、今から約6年前。当時「エコランド」を構想していた高嶋さんに、友人を介して出会ったハセベケンは、ゴミトークで意気投合!その後、2004年に高嶋さんが「エコランド」事業を開始。都内を中心に、企業や家庭内の不用品を回収し、独自のオークションサイト「エコオク」やリサイクルショップでのリユース販売を始めた。また、それが難しい場合は、解体分別を行って再資源化する「リサイクル事業」や、再生不可能な素材を使って学生やデザイナーと一緒に家具などを作る「リアライズ」という取り組みを行っている。従来の運送業の分野から、環境に貢献するシステムを作り出したことが評価され、先日「2009年度グッドデザイン賞」も受賞! 喜びもひとしおの中、様々な想いを語っていただきました!

ハセベ
まずはグッドデザイン賞の受賞、おめでとう!
高嶋
ありがとうございます!
ハセベ
最近、都内のあちこちで「エコランド」のトラックを見かけるよ。6年前は構想段階だったのに、着実に形になっていてすごい。まずは、なぜ、こういうビジネスを思いついたのか教えてください。
高嶋
実家がもともと運送業をしていて、そこの息子なんですよ。
ハセベ
でも、最初は銀行に就職していたよね。いずれは家業を継ぐ前提だったとは思うけど、どうして銀行に?
高嶋
学生の時に、先輩に「将来社長になりたいんですけど」と相談したら「経営者は数字を勉強すべきだから、銀行に入ったら?」と勧められて入ったんです。

オシャレに見せる 仕組みづくり

ハセベ
じゃあ、そこから「エコランド」を思い付いたきっかけは?
高嶋
3つあるんです。僕はずっとアメフトをやってたんですが、入社2年目に体を壊してできなくなって。見かねたうちの親父が「ボランティアでもやれば」と。それで地元の商店街の清掃に行ったんです。そしたら、猫やカラスにゴミが荒らされているのに、自治体はゴミ箱を置かずに意味のない対策をしていた。なんでゴミ箱を置かないの? と思ったことが、ゴミに関心をもった1つ目のきっかけです。2つ目のきっかけは、うちの実家の運送業が、10年ほど前に経営不振になった時期があって。でも、たまたま僕が銀行で担当してた廃棄物の収集運搬会社が、とても経営が安定していたんです。すごく不思議で、そこの社長に理由を聞いたら「人の嫌がることは儲かるんだ」と言っていて「なるほど」と。3つ目は、うちの常務が「最近荷物が集まらないんだよ」と言ったこと。世の中にゴミは溢れてるのに、ゴミが集まらない、しかもゴミは儲かる……。だったら、自分で集めに行けばいいじゃん! と思いついて、「エコランド」をはじめようと会社を辞めたんです。
ハセベ
そんなきっかけがあったのか。すごいよ、ゼロからここまで拡大して。
高嶋
でも実は僕、10年前に一度同じ事業をやって失敗してるんです。
ハセベ
そうだったんだ!
高嶋
「リサイクルリンク」という同じ不用品回収の会社だったんですが、3年半しか続かなかった。その時は、回収したものを倉庫に持ち帰って、デジカメで撮影して、オークションサイトにアップしたりと、回収する量は多くないのに、後工程がたくさんあって、やればやるほど大変で……。
ハセベ
「エコランド」は、その失敗が生かされてる訳だ。
高嶋
いろいろと反省しました。オークションに関しては、現場から携帯カメラで撮影した画像をアップしたりと。でも、当時から「リサイクルリンク」はたくさんの方から評価を受けていたから、やりたいことは間違ってないと確信していました。やり方が悪いだけだと。なので、やり方を変えて新たに「エコランド」を始めたんです。
ハセベ
話を聞いてると、すごくピュアな思いで取り組んでるよね。しかも、経営者としての野心もある。
高嶋
だって、ゴミって宝の山ですよ。不用品を回収すると、2割はまた使える。日本の粗大ゴミは年間約260万トン捨てられていて、そのうちの2割といえば約52万トン。約52万トンを換算すると約800億円になるんです。これから人口が減っていく中で、同じように物流をしていても競争が激しくなるし、新しい市場に挑戦しないと続かない。しかも、これだけの量のゴミが新たにリユース、リサイクルできれば、環境のためになりますから。
ハセベ
そして、何よりもオシャレなのがいいよね。
高嶋
信頼できる仲間がいるからできるんです。しかも、もともと運送屋の息子なので、小さいころから汗水たらして働いている人たちを間近に見てきて、それが当然だったんです。そういうドロドロ、ゴツゴツした雰囲気も好きだし。でも、世の中では、汗水たらして働く人が下に見られる風潮がある。僕も「おまえ、どうせ運送屋の息子だろ」といじめられたことありますし。だから、彼らが一生懸命働いてかいた汗をかっこよくて爽やかに見せたいなと思って。
ハセベ
そういう意味での挑戦でもあるんだね。では、今後の野望は?
高嶋
リユース業界はまだまだ伸びると思うので、いつか上場したい。あと、今後は倉庫の業界とも手を組みたい。倉庫にはデッドストックがたくさんあるので、それを上手に流通させれば、もっと倉庫の社会的価値が上がります。やっぱり、やるなら一番になりたいですね!
ハセベ
まさに運送業とエコを繋ぐパイオニアだね!
高嶋
汗を流して働く人がいるから、みんな生活ができる。環境のためだけでなく、運送業全体の社会的地位を底上げするためにも、いろいろと挑戦していきたいですね。
●たかしま・たみひと
ウインローダー代表取締役社長。1996年、慶応義塾大学法学部卒業後、東海銀行に入社。街の清掃ボランティアに参加したことをきっかけに、廃棄物問題に取り組むようになり、98年に退職。99年より、ウインローダー取締役環境事業部長に就任。その後、慶応義塾大学大学院経営管理研究科を経て、2004年に「エコランド」事業開始。09年、ウインローダー代表取締役社長に就任。http://www.eco-land.jp/
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ