volume 73 (『ソトコト』 2009年11月号掲載)
今回のお相手は、プロ野球球団・東北楽天ゴールデンイーグルスの
社長兼オーナーを務める島田亨さん。
様々なエコ活動を推進しており、その革新的な活動は、
プロ野球界を超えて大きな注目を集めています!

 2004年に仙台を本拠地として新設されたプロ野球球団・東北楽天ゴールデンイーグルス。現在、ホームグラウンドであるクリネックススタジアム宮城が、全国から注目を集めている。その理由は、プロ野球界初の徹底された地域住民参加型のエコ活動! スタジアム内には、ごみ分別回収ブース(通称エコステーション)の設置はもちろん、リサイクル容器やマイカップ運動の呼びかけ、エコボランティアの登用など、積極的な活動がたくさん。しかも、どの活動も遊び心満載で見ているだけで楽しい! このユニークな試みいっぱいのスタジアムを見て、ハセベケンは大興奮! さて、楽天イーグルスが取り組む活動とは?

ハセベ
スタジアムを見学させていただいたのですが、ゴミの分別やリサイクルなど、すごいですね! しかも地域の人々の協力が得られている。ここまでの活動している球団はプロ野球界初だと思います。なぜエコ活動を取り入れたんですか?
島田
2004年に楽天イーグルスが発足した当初、「地域密着」が重要なテーマでした。というのも、プロスポーツ事業の最大のステークホルダーは地方自治体なんです。例えば何百億円もする球場を自分たちで建設して興行して収益を出す……というのは難しい。自治体に支援していただいて初めて成り立つビジネスです。そうすると、いかに自治体のためになる活動をして、お互いが良い関係を築けるかが課題になって。
ハセベ
地域貢献のために、環境活動を始めたんですね。
島田
そうです。もともと仙台市は、環境に対して意識が高い自治体でした。ただ、以前はゴミの分別や処理の仕方などができておらず、人々の意識を高める必要がありました。そんな時に球団設立が決まって。球団側は地域貢献の願望があり、自治体は、球団とともに活動をすることで住民たちへの宣伝効果を期待していて。お互いの方向性が一致し、パートナーとして連携をしました。今では毎試合ごとに50人以上の地域住民の方の協力が得られています。その多くが、60代以上の野球好きの男性です。
ハセベ
活動を始める際、意識したことはありますか?
島田
スタジアムが街中にあるので、住む人々の目が常に気になります。だから最初は、地域の人々を意識したアイデアが多かったです。ただ、「お互いいい関係になれるように」という方向性が決まっていたので、地域との連携はしやすかった。商店街と一緒にゴミ拾いをして、コミュニケーションをとって信頼関係も築いて。最近では、商店街から「活性化のために(球団カラーの)クリムゾンレッドを使わせて」と提案がきたりしています。

仕組みづくりを強化

ハセベ
現在、スタジアムの内でも様々な活動を行っていますが、いろいろ工夫されてますよね。エコステーションにしても、カラフルなバックパネルで装飾して、見ていて楽しい。
島田
 ”どう見せるか”は最初から考えていました。私たちは「ザ・ベースボール・エンターテインメントカンパニー」が社是で、野球を通じて感動と喜びを与える団体です。そのため、すべての活動が楽しくできるよう考えています。例えばゴミ拾いも、マスコットがゴミ箱を背負い、子どもたちと争ってゴミを拾って練り歩く、などのパフォーマンスをしたり。
ハセベ
随所にエンターテインメントの要素が入っていてとってもワクワクしますね!
島田
私たちは一種のメディアなので、球団を通じて「おもしろいなあ」「いいなあ」と思われる仕組みをつくることが大切だと思っています。そして、私たちの活動が注目を集めることにより、来場する人々のゴミに対する意識が変わり、さらには選手たちの意識も変わってくる。いろんな相乗効果で、球団側ももっと良い方法を考えるようになるんです。
ハセベ
これから活動をするにあたり、新たに計画していることは?
島田
今後は、子どもがキーワード。子どもの意識が高くなると、親も姿勢を正しますよね。
ハセベ
子どもたちに反響ある活動はありますか?
島田
風船回収は人気があります。毎回、7回裏の楽天攻撃前にジェット風船を飛ばして応援をするんですが、使用済み風船を10個集めると特製ステッカー1枚と交換できます。
ハセベ
ゴミを集めることをゲーム感覚で学べば、子どもにも抵抗なく受け入れられますね。
島田
そうです。子どもは、ただ真面目に啓蒙してもダメで、興味を持てるようにしないと意識付けはできません。なので、来年度は「エコ&キッズ」をテーマに、球場と球団の仕組みづくりを加速しようと思います。具体的には、セグウェイを導入してゴミ袋を配布したり、球場内にソーラーパネルを設置するなど、インパクトのある活動ができればと考えています。
ハセベ
すごいなあ。スポーツの楽しさはもちろん、自然にゴミのことを体感できるのが素晴らしい。環境やエコって、言葉よりも感じたほうがよっぽど伝わりますから。
島田
はい。遊びにきた人々が野球を楽しめて、さらにいろんなことを感じていただける、そんなスタジアムにしたいですね。
ハセベ
この活動がほかの球団にも広がり、どの球場でも、当たり前にエコ活動が広がっていくといいですね!
●しまだ・とおる
楽天野球団代表取締役社長兼オーナー。1965年東京都生まれ。87年東海大学卒業後、リクルートに入社。89年、友人らとインテリジェンス設立、取締役就任。その後、個人投資家として多くの企業経営に携わった後、副社長を経て2004年12月より楽天野球団の代表取締役社長に就任。08年、初代オーナーである三木谷浩史氏よりオーナー職を禅譲され、現在に至る。http://www.rakuteneagles.jp/
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ