volume 72 (『ソトコト』 2009年10月号掲載)
今回のお相手は、昨年12月に結成された
アメリカンフットボールの社会人クラブチーム
『相模原ライズ』の代表、石井光暢さん。
ユニークな活動と、地域貢献活動についてお伺いしました。

 アメフトのクラブチームの名門、オンワードオークスの解散により、新たに立ち上がった『相模原ライズ』。特定のスポンサーに依存せず、地域密着型チームとして再出発を行う。「地元に貢献するチームでありたい!」という熱い思いの石井さんと出会ったハセベケン。さて、相模原ライズが取り組む、新しいクラブチームのあり方とは?

ハセベ
オンワードオークスの解散から相模原ライズの立ち上げ……激動の年でしたね。
石井
そうですね。去年の12月16日にオンワードオークスから突然解散通告がきて。そして、その4日後の20日には「自分たちで新チームを再建する!」と動きだして。
ハセベ
オンワードオークスにはどれくらい所属していたの?
石井
もともとNECファルコンズでプレーをしていたのですが、業績不振によってチームが解散して。それでNECを辞めて他の会社で働いたり、自分の会社を起こしながらいろいろなチームを渡り歩いたんです。でも日本一のチームで活躍したいと思い、2003年、32歳のときにオンワードオークスに入りました。
ハセベ
慣れ親しんだチームが突然なくなり、急遽自分たちでチームをつくることになったわけだけど、活動資金はどうやって?
石井
解散当初、いろいろな方から寄付の申し出があったんです。それで調子に乗って「もっとくれ」と言ったら叩かれて(笑)。その時に「助けて」では何も生まないと気づきました。そこでまず、自営できるチームにしよう、その上で自分たちのできることを地域に発信しよう、と方針を変えました。

スポーツで明るい未来を!

ハセベ
確かに、ただ相手に求めてもダメなんだよね。お金を頂いた代わりにみなが喜ぶ場を提供するとか、そういった関係性をつくらなきゃ。
石井
でも、金銭面以外にも問題が山積みでした。オンワードがスポンサーを降りた時、協会に解散届を提出してしまったんです。それで、僕らが相模原ライズをつくって申請したら「新チームとして受理する」と言われてしまい……。つまり一番下の3部からやり直す必要がある。でも中身はオンワード時代と変わらないんだから「特例を認めて1部でプレーさせて」と署名活動をしたのですが、結局ダメで。
ハセベ
オンワードは何度も日本一になった名門チームなのに、それが3部とはショックだよね。
石井
最初は「1部じゃなきゃ辞める」という選手もいました。でも、解散直後に、みなで署名活動をしにいったんです。そしたら、多くの人が声をかけてくれて、一日で何千もの署名が集まりました。その時に、自分たちの思いだけでやってるんじゃない、と気がついて意識が変わりました。最終的には4万人からの署名が集まって、本当に嬉しかったです。
ハセベ
相模原ライズの由来は?
石井
なぜ相模原かというと、オンワード時代からグラウンドが相模原にあって、今もそのグラウンドを借りていて、お世話になっているから。ライズの名前は公募です。名付け親は地元の8歳の女の子。日はまた昇るとメッセージをつけて応募してくれたんです。
ハセベ
今後の復興プランは?
石井
まず運営の基盤を固めたい。スポンサーに依存しすぎては前と同じように解散の危機があるので、どうやって自分たちで収益を出すかが一番の課題。そのため、グラウンドでスポーツ教室などを行っています。最終的には、3分の1は自分たち、もう3分の1は地域やファンの人たち、残りの3分の1をスポンサーで運営費を賄えればと思っています。
ハセベ
ところで、一緒に活動させてもらっているけど、そもそもなぜ掃除を思いついたの?
石井
新チームをつくる時、次は地域のために貢献したいと思って。ゴミ拾いなら、身近に地域との距離が縮まるのでは、と。
ハセベ
実際やってみてどう?
石井
選手からは「掃除もやってみると意外に楽しいね」という声が多いです。それから、いま相模原ライズのユニフォームには、グリーンバードのロゴマークが入っているんですよね。ファンクラブに入って相模原ライズを応援すると、自動的に会費の一部がグリーンバードに寄付され、社会に貢献できるという仕組み。
ハセベ
この仕組み、我ながら面白いなと(笑)。こういう活動は、選手は全員参加なの?
石井
自由参加です。すべての活動を強制しない、というのが新チームのコンセプト。やらされてやるのでは何も変わらないので。
ハセベ
それってすべてのボランティアに通じるよね。ゴミ拾いも、自分でやるのと、子どものころ親に言われて掃除をやらされるのとはぜんぜん違う。オンワード時代は、チームで社会貢献活動はしていたの?
石井
全くしていません。勝つことがスポンサー企業への恩返しだと思っていたので、練習ばかりしていました。でも環境系の会社を起こしていたので、もちろん興味はありましたが。
ハセベ
今後の具体的な活動内容は?
石井
スポーツを通して、青少年の健全な育成です。アメフトってとても合理的で、ポジションの分業制が進んでいるスポーツなんです。足が速い人にしかできないポジションとか、太っていなきゃできないポジション、とか。逆にいうと、誰でも必ず活躍できる場があるので、アメフトを通じて子どもに多様なスポーツの機会を感じてほしい。なので、地域の子どもたちに向けてスポーツ教室など積極的に行おうと思います。
ハセベ
では、最後にチームの目標を。
石井
日本一を目指す。そして地域の誇りになりたい。選手のみながちゃんと飯を食えて、かつ、いい刺激を周りに発信して地域の人から必要とされるチームになれればと思っています!
●いしい・みつのぶ
アメリカンフットボールチーム『相模原ライズ』の代表および所属選手。1971年2月、東京都生まれ。拓殖大学卒業。95年にNEC退社。97年に、廃棄物の収集、再利用に関する企業『エコグリーン』を設立。2003年にオンワードオークス入りし、選手として2度の日本一に貢献。08年12月より、相模原ライズを立ち上げ、最年長現役選手としても活躍中。http://www.sagamihara-rise.com/
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
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