
(『ソトコト』 2009年7月号掲載)

- 今回の対談のお相手は、「アースデイ東京2009」
実行委員会の事務局長を務めた中島悠さん。
28歳という年齢で、イベントを大成功に導いた才気溢れる若者。
そんな中島さんが、地球環境についてなど、たっぷりと語ってくれました。
今年で9回目の開催を迎えた「アースデイ東京」。市民による日本最大級の地球環境イベントとして、4月18日(土)、19日(日)の2日間にわたり、東京・代々木公園一帯で様々な催しが行われた。今年は「未来をグリーンに変える強烈パンチ」をテーマに、環境NPOや企業など383団体が集合した。2日間の来場者数は過去最高の14万人を突破! イベントの翌朝、まだ興奮冷めやらぬ二人に今年の感想を伺いました。

- ハセベ
- アースデイ東京、お疲れ様でした! 今年は、グリーンバードと事務局で一緒に掃除したんだよね。個人的にはうまく関われたと思ったけど、どうだった?
- 中島
- 日曜の朝に、出展者側から参加者を募って掃除を行ったんですよね。年々出展者も増えているので、何か一つのコトを協力して行う場を持ちたくて。そういう意味では、一緒に掃除することで輪が広がったので、すごくよかったです。
- ハセベ
- 今年のゴミは多かった?
- 中島
- 去年より少ないです。来場者数が増えたのに、ゴミが減ったのは嬉しいですね。
- ハセベ
- 今年で9年目だけど、本当に来場者が増えたよね。10年前は環境や未来のことを声高に言うのは青臭い、という風潮があったけど、今年の様子を見ると、みんなの関心が高まっているのがわかる。アースデイがやってきたことは良かったんだな、と思ったよ。
- 中島
- 初めての人がたくさん足を運んでくれるようになって、本当に嬉しいですね。今年はむしろ、人数の多さに驚きました(笑)。
「毎日がアースデイ」を目指して

- ハセベ
- ずっと気になっていたんだけど、中島くんはどういう経緯で事務局長になったの? 28歳という若さで。年齢よりも落ち着いて見えるけど(笑)。
- 中島
- もともとイベント好きな人間で、中・高校時代に学園祭の実行委員をやってたんですよ。で、どうせやるならインパクトがあって、社会的に意義のある学園祭をやりたかった。なので、プレイベントとしてクリーンアップや討論会を行ったりして、学校全体が盛り上がるような企画をしたんです。また、学園祭でゴミが大量に出るのが嫌だったので、きちんと分別ができるゴミ箱を目立つ場所に置きたいと思って。それで、ネットでA SEED JAPANのサイトを見つけて、ゴミ箱を借りたり。とにかく参加型でクリーンな文化祭を目指していたんです。ただ、せっかく学園祭を成功させても、後に続かないと意味がない。僕が卒業しても残る仕組みをつくらなきゃと思って、学園祭と授業を繋げることを考えつきました。ちょうど僕が高二だった1997年は「気候変動枠組条約 第3回締約国会議」の開催前で、A SEED JAPANがキャンペーンを行っていて。これは面白いと思い、授業で取り入れるように働きかけました。CO2をどうやって減らせばいいかを高校生の目線で話し合って、成果をまとめて提出もしましたね。
- ハセベ
- なるほど、すごいね。
- 中島
- その後、大学に入ってから、A SEED JAPANの活動に4年間関わりました。当時は夏フェスが盛り上がってきたころだったので、野外イベントでのゴミゼロの活動をして。03年に卒業した後はイベント会社で会社員をしましたが退職し、05年からアースデイ東京の事務局スタッフとして現在に至る、というわけです。
- ハセベ
- つまり、学園祭の延長上でアースデイにいる、と(笑)。でも、周りからすると、当時は一歩間違えれば面倒くさい高校生だったわけだよね?どうやって成功に導いたの?
- 中島
- ええ、超面倒くさかったと思います(笑)。でも、僕はもともと協力者を募ったり、参加しやすい仕組みを考えるのが好きなんです。アースデイもそうだけど、出展側はどうしても自分たちの主張が前に出すぎるから、意見がぶつかる。だけど結局、﹁学園祭を成功させたい」「アースデイを成功させたい」という気持ちのベクトルは一緒。お互いを認め合って、みんなが共存できる方法を考えていくのが大切ですね。
- ハセベ
- 相手を肯定して、仲間を増やしていくことに長けているんだね。それはすごく良い方法だと思う。
- 中島
- 否定ばかりだとやっていて楽しくないし、まず自分が続かない。僕が事務局に入ってからは、とにかく楽しく、多くの人が来やすいような敷居の低さを心がけています。
- ハセベ
- 今年印象に残ったことは?
- 中島
- 僕は意外に心配性なので、「去年のボランティアの人たちは、今年は大丈夫かな……」と考えていたら、去年のコアスタッフが「今年もやりたい」と集まってくれた。それが本当に嬉しかったですね。やっぱり関わった人たちが「次もやりたい」と思えるイベントが、本当にいいものだと思うんです。ある方が「木を植えるより、木を植える人を育てたい」と言っていましたが、確かに人が育たないと意味がない。なので、成果はあったかな、と。
- ハセベ
- いい話だなあ。来年は10周年だけど、抱負はあるの?
- 中島
- 来年は、フェスティバル型だけでなく、講演やディスカッションなど、話ができる場をつくりたいです。環境に対しての啓発の時代はもう終わって、これからは具体的に何をすれば良いのかを伝えるステージ。もっと深いメッセージを発信できるようにしたい。原宿、渋谷の街とも繋げて、「毎日がアースデイ」になるきっかけづくりができればと思います。
- ハセベ
- 地方のアースデイともさらに協力していければいいよね。
- 中島
- アースデイで始めた活動や広まった活動って、実はたくさんあるんですよ。例えば、シブハナや天ぷら油リサイクル大作戦とか。それをもっと世界中に発信する。ゆくゆくは、アースデイ発の活動や仕組みが国に提案されて、法律に反映されていく。”アースデイ法案”が生まれたら素敵だと思っています。