volume 66 (『ソトコト』 2009年4月号掲載)
今回の対談のお相手は、東京ガールズコレクション実行委員会
チーフプロデューサーの永谷亜矢子さん。
人気イベントにさりげなく環境・社会貢献活動を
取り入れ、若い女性たちのエコ意識に働きかけています。

 「日本のリアルクローズを世界へ」をテーマに、2005年から年2回開催されている史上最大級のファッションフェスタ、東京ガールズコレクション(以下TGC)。人気モデルが出演し数多くの人気ブランドのファッションショーや、注目アーティストの音楽ライブやチャリティオークションなどのコンテンツに加え、ショーに登場したアイテムをすぐにケータイで買えるなどの多彩な内容で、毎回のべ約2万人以上を動員する巨大コレクションへと成長した。一見エコとはかけ離れているようなイベントだが、グリーンバードとともに行う会場周辺のゴミ拾いなど、環境・社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。今回はイベントの仕掛け人であり、ハセベケンの友人でもある永谷亜矢子さんに、TGCの環境・社会貢献活動への取り組みについてお伺いした。

ハセベ
会社は違うけれど入社時期が一緒で、新人時代からよくみんなで遊んだよね。そんな僕らも30代後半になって、20代の若い人たちを対象に何かアクションを起こそうと思って、僕はグリーンバードでお掃除を始めたんだけど、永谷さんは最初からそれをすごく理解してくれた。そして7回目となる去年のTGCから環境活動を実現させ、グリーンバードと一緒に掃除も始めることになった。
永谷
TGCは、ただのファッションショーではなく参加型で楽しんでもらうために音楽ライブなども行い、会場内だけでなく携帯、雑誌、テレビなどあらゆるメディアを使ってたくさんの人たちに情報を発信しています。「日本のリアルクローズを世界に」という目的があるので、日本のファッションの聖地にこだわりがあり、このイベントが生まれた東京・代々木体育館のある地域を大事にしていきたいと思っていて。それで、主に渋谷に関わる様々なエコ活動に参加させていただくことにしました。グリーンバードと一緒にゴミ拾いを始めようと思ったは、TGCに来る子たちが、会場とその周辺を汚して帰って行くので、「隣でゴミを拾っている人がいたらゴミを捨てないかな」と思ったことが直接のきっかけ。みんなに着飾るだけじゃなくて、街に優しくなってほしい。前回のTGCからグリーンバードとゴミ拾いをやるようになったことで、ぐっとTGC後のゴミの数が減りましたよ。
ハセベ
言葉で言うより、体験して感じるのが大きいよね。ギャル系のファッションは「超大量消費」という感じのイメージだったんだけど、普段のグリーンバードの活動にもそういう格好をしている子がけっこう来るんだ。話してみてもみんないい子で安心する。
永谷
携帯で買い物をする時、最初は不安もあるけれど、1度体験すると便利だと分かって、何回もリピートするようになる。掃除も同じで、1回やると「こんなにタバコとガムが落ちてるんだ」とわかったり、拾うことで「もう捨てないようにしよう」と思うようになる。見た目は近寄りがたいギャルの子でも、接すると優しい、いい子だったりするので、もともとちゃんとした道徳心はもってる人じゃないかな?中には、なんで掃除なんかするの? という子もいるけれど、そういう子も何かしら感じるものがあるはずだし。
ハセベ
TGCには「渋谷に急に森をつくるのは難しいけれど、3本植えて森と言おう!」という、渋谷区の緑化プロジェクト「渋谷『+1の森』プロジェクト」にも、参加者第1号として参加してもらっているよね。この話をしたらすぐに「明日飲みに行こう」「いいよ」みたいなノリで、ハチ公前に植える3本の木のオーナーの話を引き受けてくれた。区の行政の人たちに理解してもらうのに時間がかかったプロジェクトだったから「分かる人は分かってくれるんだ」と思って嬉しかったな。
永谷
3本の木を植えて渋谷を緑化するというのが分かりやすいし、環境保護の大切さについて考えるきっかけになるのがいいな、と思ったんです。いい活動だから広めていかなければならないし、そういう時には今後もぜひ私たちを使ってほしい。前回は約20ブランドとコラボレーションしたエコバッグの収益金の一部をこのプロジェクトに寄付したのですが、次回はそれをオリジナルTシャツにして続ける予定。こういった環境・社会貢献活動を「Let's do something!」と名づけて、昨年に引き続き、グリーン電力の使用や衣服のリサイクル回収などにも取り組んでいきます。

東京ガールズコレクションの役割

ハセベ
若い子への影響力が大きいだけに、これからが楽しみだよ。TGCは、日本全国の地域振興にも関わっているよね?
永谷
全国各地から「ファッションショーをやりませんか」という話がくるんですが、ほとんどお断りしているんです。というのは、1回ファッションショーをするだけでは一時的にしか洋服は売れないし、お金がかかるから。それなら私たちが得意なウェブや携帯、ブランドとのコラボなどを活かしたPRを行って商店街や街全体の産業を活性化しようと提案しています。例えばメガネの生産地、福井県鯖江市のメガネはクオリティが高いのに認知度が低いので、TGCに参加しているブランドとコラボして、オリジナルデザインのメガネを作り、「Sabae×ブランド名」ですべての媒体に露出するようにしました。
ハセベ
それって聞いているとフェアトレードだし、街おこしになっている。
永谷
私たちはPR力が強みなので、それを活かして全国、世界に日本発の良いものを伝え、同時に環境の取り組みもセットで行っていきたいです。
ハセベ
環境と遠いところにあるようなイベントが環境活動と組むなんて、10年前では考えられなかった話だよね。でも今はまだ創成期で、僕らはそのメンバーの一員として役目を果たしていくのが大切なんだと思う。一緒に楽しく続けていきたいね。
●ながや・あやこ
1972年愛知県生まれ。立教大学卒業後、リクルート、IT関連企業を経て2005年にブランディング(旧ゼイヴェル)に入社。携帯、PC、雑誌、TVなどあらゆるメディアとクロスメディア展開する、消費者参加型の巨大ファッションイベント「東京ガールズコレクション」の立ち上げからプロデューサーに就任し、現在に至る。3月7日(土)「第8回東京ガールズコレクション」(http://tgc.st/)、8日(日)「第3渋谷ガールズコレクション」(http://tgc.tw/)が東京・代々木体育館で開催される。
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ