volume 62 (『ソトコト』 2008年12月号掲載)
今回の対談の舞台は、富士山の樹海!?
グリーンバードの富士山そうじツアーの後に、
ご協力いただいたNPO富士山クラブの理事・舟津宏昭さんと
富士山清掃のことや、今後のことを話しました。

 今年もたくさんの人が参加した、グリーンバード恒例の富士山そうじツアー。普段、都会での掃除では見つからないような建築資材、タイヤ、家電などの大きなゴミに驚きつつ、20代、30代中心の若いメンバーが、楽しみながら一生懸命ゴミを拾いました。拾った後はお昼を食べ、温泉でリラックス。感想を聞いてみると「人が捨てた物は人が拾うしかないと改めて思った」「充実した一日が過ごせた」「普段のゴミ拾いと規模が違い、いつもと違う充実感があった」など、いい一日になったようです。このツアーを一緒に企画したハセベケンと舟津宏昭さんは、どんなことを感じているのでしょうか?

ハセベ
グリーンバードにとって富士山の掃除は、今年で6回目。毎回、普段街の掃除にも来てくれる人を中心に、樹海や富士山という言葉に惹かれて、100人近くが参加してくれています。以前は5合目の駐車場周辺をやっていて、街のゴミ拾いとそんなに変わりがなかったんだけど、去年から富士山クラブの協力で樹海のハードな現場を用意してもらい、都会ではできない体験ができて大満足しています。富士山クラブの掃除には、年間で何人くらい、どんな人たちが来るんですか?
舟津
去年は富士山クラブ単独のイベントに、年間で6200人が来ました。今年は現時点で4500人くらい来ています。毎月必ず定例のゴミ拾いをやっているので、ホームページにアクセスして申し込んでくれれば、どんな人でもウェルカムです。来る人の年齢は3歳から92歳までといろいろ。東京の人や、最近は大阪、香川、広島の人がよく顔を出してくれるようになりました。逆に地元の人がまだまだ少ないんですよ。「地元の人は富士山が見えるから登らない」とよく言われるのですが、それと同じです。
ハセベ
富士山は日本の象徴だから、全国から人が集まるんですね。こっちに来るとタイヤや大きなビニール袋や、医療廃棄物や散弾銃の弾薬など街では考えられないゴミがありますね。富士山クラブが発足してから、富士山はどのくらいキレイになったんですか?
舟津
富士山クラブの発足から今年で10年なんですが、以前3年間かけて富士山の全域のゴミ調査をした時に3000か所以上、不法投棄の場所をマークしました。今年の8月までの清掃活動の統計では、そのうち約31%が終わりました。青木ヶ原樹海を5年でキレイにする目標を立てていて、その期限である来年12月には目標個所の清掃が終わる予定です。
ハセベ
もう一踏ん張りなんですね。ところで、舟津さんはどうしてこういう活動を始めたんですか?
舟津
恥ずかしい話なんですが、僕は大学にだいぶ長くいて、卒業後も1年間プータローだったんです。そんな時、富士山クラブの人と知り合いだった大学の先生から「ブラブラしているならボランティア活動でもやってこい」と言われて、富士山クラブに参加しました。最初に担当したのが頂上にバイオトイレを設置するプロジェクトで、今までの自分の生活と全然違うところに放り出されて、申請書を出したり、環境省に行ったりしました。最終的には450人のボランティアの方々と一緒に、頂上にバイオトイレを設置することができて。その流れがよかったんですよ。それが2003年に終了し、次に富士山を直接きれいにするゴミ拾いを始めました。やってみたら楽しいし、それに、いろんなものが捨てられていることに相当なショックを受けたんです。それで、こういう活動に必要なコーディネーターとして身を置きたいと思うようになり、そのまま活動を続け、今は理事をやっています。

グリーンバードは優等生!?

ハセベ
舟津さんも、掃除するのは当たり前というスタイルで活動されていますよね。そして、楽しみながらやっているのが伝わってきて、一緒に掃除をしていてとても心地よいです。
 
ハセベ
いろんな人たちが来る中で、グリーンバードの印象は?
舟津
やっぱりちょっと違う。改めてグリーンバードってすごいと思いましたよ。やらなきゃいけないことが分かっていますよね。初めて来る人はゴミ袋の使い方や、何から始めるべきかが分からないんですよ。でも今日はスタートしてすぐにゴミ袋がなくなり、いきなり列をつくってバケツリレーみたいにゴミを渡していたでしょう? 普段は僕らが指示してやるんだけど、みんなが自主的に動くから、あれよあれよという間に終わっちゃう。それで、今回は50分で1回目の現場が終わってしまい、次の現場に移動した。富士山クラブ始まって以来、1チームが2時間で2か所を掃除したのは初めてですよ。すごい。しかも楽しそうにやっているし、モチベーションも高いのかな。
ハセベ
すごい優等生だね(笑)。みんな街の掃除を経験して「意外に楽しいな」ということで来ている程度だと思うんだけどな。
舟津
いいんですよ、その程度で。最近は、企業や都会で活躍するNPOとのコラボがすごく増えたんです。この2年間で、2万人以上が参加し、回収したゴミも300トン近くになりました。メディアで紹介されることも多くなり、それを見て軽いノリで来てくれる人が増えました。こういうことが当たり前になりつつありますよね。
ハセベ
そうですね。その点、都会も山も同じだね。
舟津
いつもグリーンバードが来てくれるけれど、今度は僕らが東京に行って、街の掃除を一緒にしてみたいと思っています。東京から見える富士山はとても美しいのですから、もっともっとつながりたいですね。
ハセベ
ぜひ東京にも来てください。徐々にもっと組んでいけると面白いですよね。楽しく続けていきましょう!
 
●ふなつ・ひろあき
環境NPO法人富士山クラブ理事。1998年設立の富士山クラブは、富士山周辺で清掃活動、環境教育、森づくりなどを行う環境NPO。アルピニストの野口健氏(本誌『ソトコト』で連載中)も仲間として活動しており、2005年から富士山クラブの活動拠点「もりの学校」の校長に就任し、共に活動を行っている。http://www.fujisan.or.jp/
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ