volume 61 (『ソトコト』 2008年11月号掲載)
今回の対談の相手は、モバイル業界で活躍中の
インタースパイア社長の早川与規さん。
グリーンバードと共に進めている携帯サイトの話や
一緒に仕事をして見えてきた可能性を語り合いました。

 同じ広告代理店に勤めていたのが縁で知り合ったハセベケンと早川与規さん。環境NPOとモバイル業界という一見異なるフィールドで働く二人が「エコで面白いことをしたい」と意気投合。携帯初のエコグッズ専門のショッピングサイト『Re Earth(リアース)』を立ち上げました。ここで買い物をすると、その年間売り上げの一部がグリーンバードに寄付される。その経緯は? そして今後の目標は?

ハセベ
早川さんは環境のことで何かアクションが起こせないか模索していて、僕はグリーンバードの新しい資金作りをネットでできないか考えていて、そのタイミングが合って、新しく『Re Earth』という、携帯でエコグッズが買えるサイトを今年7月に始めたんですよね。売り上げの一部を寄付してもらえるというのはとっても助かる。僕の中では、IT業界と社会貢献って、具体的なイメージで結びつかない気がしていたんですよね。でも、早川さんと話していたら、何かできるように思えたんです。そもそもなぜ、エコ関係の事業をやろうと思ったんですか?
早川
インタースパイアはモバイルの広告とコマース(商業)に特化した事業をおこなっており、コマースに関しては「今売れる商品は何か」という視点でスイーツやコスメのショッピングサイトを作っていました。でも、消費者の目は本当に厳しい。だから、原点に戻って「日本初で世の中のためになる、自分たちのモチベーションも上がる事業」という視点からビジネスを始めようと思ったんです。そうして今年はじめから社内で話し合って、エコがテーマのサイトを作ろうと決めたのがきっかけです。僕自身が会社を作るときに「どうせやるなら社会性のある、世の中から必要とされる会社を作ろう」と思っていたことも大きいです。
ハセベ
その流れの中で、僕たちグリーンバードはすごくいいマッチングをさせてもらったと思います。でも自分たちだけでやったほうが儲かるのに(笑)、どうして僕らと一緒にという発想になったんですか?
早川
僕たちは環境に関しては素人なので、環境問題にずっと取り組んできた人たちとやりたかったんです。あまり中途半端にやると「また思いつきで適当なことをやったな」と思われるし、中長期的な視点で腰を据えて、本質的なことをやろうと思っていたので。それで、なんとなく言葉が通じそうな人を探していて、渋谷区議会議員でグリーンバードというNPOを作って、表参道でゴミ拾いをやっているハセベケンさんを思い出したんです。
ハセベ
NPOの抱えている問題って、資金と人材の問題につきるんですよ。コマースサイトの運営などの事業をおこなうには資金と人材が必要になるし、寄付金に頼るには、この国の意識が低いのでなかなか難しくて。それでみんな活動が大きくならず、止まっているところがあるんですね。僕らは一般企業から「ボランティアで何でもしてくれる人」と思われていることが多いので、今回のビジネスパートナーとしての協力は、NPO業界にとっても、新しいモデルケースになると思います。すごくありがたいし、とってもワクワクしています。
早川
メディアとしてとらえると、携帯電話は接触頻度、距離感が一番近いメディアです。2007年にはモバイルコマース市場の規模が約7200億円(前年比130%)になりました。でも、まだエコ関係のモバイルショッピングサイトはなかったので、今年7月にオープンした『Re Earth』は、モバイル業界で環境配慮型商品に特化した初のサイトです。9月16日にドコモのiモードの公式サイトになり、商品も食べ物、ファッション、洗剤などを含む300アイテムに充実させました。アプローチとしては、男女や年齢層を問わずエコに興味を持ち始めた「変えられるんだったら変えてみようかな」というライトエコの人の要求に応えられるサイトにしたい。ここに来ると1つは欲しい物があって、買っていけるサイトにしたいですね。グリーンバードの掃除のようにできる範囲でやっていいし、これをきっかけにどんどんエコを突き詰めていく人がいても、もちろんいい。ふだんコンピューターをあまり使わない10代や、子供がいる女性、地方の人がよく接する携帯というメディアに出すという点で、世のため人のためになるので、多少計画どおりにいかなくても続けることが大事だと思っています。

モバイルでエコ

ハセベ
やっぱりこういう仕組みはもっと世の中に出るといいな。今後はサイトを読み物としても面白いものにしたいと思って、今いろいろ企画を考えています。
早川
グリーンバードに、サイト全般に関するアドバイザーになってもらい、協力者の人選や紹介をしてもらって、本当に助かっています。スピード、内容の深さはグリーンバードがあることで断然違う。『Re Earth』にはグリーンバードのメンバーが環境配慮型商品を紹介するブログもあるのですが、ずっと前からエコをやっている人たちの視点で本当にいいものを紹介しているので説得力がある。
ハセベ
僕らにとっては新しい気づきになりました。自分のネットワークがIT関係の企業の役に立つなんて、目からウロコでした。エコノミーとエコロジーは相性が悪いと思われているけど、本当は相性がいいはず。なかなか、そのアウトプットが出てこないので第一歩になれたらいいですね。
早川
ビジネスをやる僕らがある程度時間をかけて人々の目に触れさせれば、もっと広がると思います。将来的にはアンテナショップを出したいですよね。グリーンバードの「朝の合コン」と同じような「どうせケーキを買うなら、こっちのエコなケーキを買ったほうがいいんじゃない?」というノリで、ライトエコの人たちにも、気軽に提案していきましょう!
 
 
●はやかわ・とものり
1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中に米国シラキュース大学経営大学院に留学。その後、サイバーエージェントで副社長を務める。2004年にモバイル関連のサービスを展開するベンチャー企業、インタースパイアを設立し、代表取締役社長に就任。現在に至る。http://www.interspire.jp/
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ