volume 52 (『ソトコト』 2008年1月号掲載)
コミュニティが大切なんです! 奥村政佳×ハセベケン
もっともエコな音楽を奏でる、アカペラグループ、ラグフェアのおっくんがグリーンバードのお掃除に参加! そこで拾ったものとは?

アカペラグループ、ラグフェアで活躍する奥村政佳、通称おっくんは、高校生のときに気象予報士の資格をとり、筑波大学で気象学を専攻。昔からとってもエココンシャスで、いまも真摯に向き合い、勉強し、活動しているミュージシャン。イベントで一緒に台風の中、渋谷の街を掃除したのがきっかけで知り合って、これからハセベケンとも『ソトコト』とも、いいつき合いをさせていただけそう。さっそく対談しちゃいました。

ハセベ
先月お会いしたばかりなのに、さっそくグリーンバード(以下GB)の掃除に来てくれたんですよね。
奥村
対談の前にちょっとびっくりさせようかと思って。天気がいい日のゴミ拾いは単純に気持ちいいですね。それと、1時間みっちりやると、どんな場所にどんなゴミが落ちてるかを肌で感じることができて、とても面白いですね。ゴミ拾いをした後、レコーディングがあって、スタジオのある街に移動したんですが、そこはけっこうゴミが落ちていて、街の汚れがすごく気になりました。
ハセベ
確かに渋谷区の表参道は、随分きれいになってきています。5年前はじめたときには、1回の掃除で20個くらいゴミ袋が出たんだけど、今は5個か6個に減ったんだ。法律や条例で強制しなくても、ここまでできるんだ、という自信がつきましたね。僕らは朝の掃除を、朝の合コンとも言ってるんだけど、愛は拾えませんでした?
奥村
それはなかったです(笑)。けれど親子愛は見ましたよ。かわいい子供がいてね。お母さんが作ってくれたGBっぽい小さなベストを着て。すごく愉しそうに掃除していましたよ。いいなあって思って、これは素晴らしい拾いものでした。
ハセベ
ゴミのポイ捨てのことでも、ほかの問題でも、なんとかポジティブに解決したいと思ってるんです。音楽というのは、そういうときにとても大きな力を持っていて、羨ましいなと思ってるんですよ。
奥村
そうですね、音楽と限らず、いま僕らがいる場所で何か行動をすることは、たくさんの人の気づきになると思うんです。「こうしよう」っていう呼びかけだと押しつけがましくなっちゃうので、そうではなくて、「実際自分たちが行動してみたらこう感じました」、という方法で気づきを共有したほうがいいかなと思うんです。だからGBの掃除にも、とにかく自分で参加してみたかったんです。
ハセベ
やはり気象関係の興味から環境問題に近づいたんですか?
奥村
そうですね。メディアでも最近、『不都合な真実』あたりから、環境について真剣に語られるようになりましたよね。同時にそうした動きに対するアンチも出てきた。どの情報をチョイスすればいいのかが重要ですよね。間違った発信の仕方をしたくない。だからもっと突っ込んだ勉強をしなくてはと思っています。環境問題には、何かしら気候が絡んでくることが多いので、自分が勉強していることがリンクしていることも多いんですよ。
ハセベ
確かに気象と環境は切り離せない問題ですよね。
奥村
環境問題って、今、いろいろなことがリンクして難しいことになっていますよね。人口問題もその一つですよね。世界の人口、30億人が60億人になり、そのうち90億人になる。3倍になる。そうなると、地球のキャパ的にどうなんだろう。そうやって考えみてみると、これも重要な環境問題ですよね。やっぱり、環境問題と一言で言っても、どのように問題を抑えていくべきなのか、きちんと捉えていくことが大切だと思っています。

環境問題へのアプローチ

ハセベ
環境問題って、グローバルな視点で考えても、なかなかリアルに迫ってこないしアクションを起こしづらいじゃないですか。身の回りの問題として考えていかないと効果がないと思うんです。ゴミ拾い自体、実は環境負荷を下げるわけじゃないけれど、環境についてドキッとして、何か考えるいいチャンスになるんです。コミュニティの大切さに気がつくこともできますしね。地域の問題はコミュニティの問題、それが環境と切り離せない。そのことにGBの活動を通して気がついたんです。
奥村
ゴミ拾いってすごいですよね。街がきれいになるだけじゃなくて、人と人との距離が近くなる。愛のある気持ちの良いコミュニティができてくる。コミュニティという話になると実はアカペラって素晴らしいツールなんですよ。一番人と人との距離が近い音楽なんです。基本的に全員いないと練習もできない。メンバー感の距離が離れているとあからさまにうまくいかない。ハーモニーは人間の根源的な共同性を感じさせるものなんです。それがいいんです、とっても。
ハセベ
なるほど、アカペラもコミュニティが重要なんですね。それは説得力がありますね。
奥村
GBが掃除に参加したあと、みんなでご飯に行ったりしているように、リアルなフェイス・トゥ・フェイスな接し方ができる組織って居心地いいんですよね。
ハセベ
そう言ってもらえると嬉しいです。参加しやすいボランティアを目指しているんですよ。一度でいいから参加してもらえると、気がつくことがあるはずなので。
奥村
愛について歌っても、現実の愛を伝えるのが難しいように、歌自体で環境問題を訴えるのはすごく難しいんです。説教臭くなる。でも、ゴミ拾いは具体的ですごくよくわかる。リアルなものの、大切さ、面白さって、体験してよくわかりましたよ。
●おくむら・まさよし
ミュージシャン(RAGFAIRメンバー)、気象予報士。
1978年大阪生まれ。筑波大学自然学類卒。高校3年生、17歳の時に当時史上最年少で気象予報士に合格、筑波大学にて気象・気候学を学ぶ。在学中の2001年、アカペラボーカルバンドRAGFAIRのメンバーとしてデビュー。打楽器を口で表現するボーカルパーカッショニストとして活躍するかたわら、気象予報士としてテレビ番組に出演するなど、精力的に活動している。1月には通算17枚目のシングル「早春ラプソディ」をリリース。
おっくんの「HAPPY☆LUCKYの見つけかた」
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員、NPO法人green bird代表。
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ