(『ソトコト』 2007年7月号掲載)
TBSのアナウンサーとして、報道番組で活躍中の秋沢淳子さん。実は会社員をしながらNGO団体の理事を務め、世界の子供たちを支援する活動をしているのだ。表参道の合唱団でハセベと出会った秋沢さんに、ボランティア活動について伺いました。

ハセベケンは原宿表参道の合唱団で秋沢さんと出会った。ああ、テレビに出ている人だと思ったが知らないこともやっていた。「スプートニク・インターナショナル・ジャパン」というNGOの理事として国際教育支援・国際交流支援・国際協力の三本柱を基本として活動していたのだ。その元気ではつらつとした活躍ぶりに刺激を受けた。

ハセベ
スプートニクをはじめるきっかけとは?

秋沢
もともとボランティアとふれあったのは高校2年でニュージーランドに行った時なんです。語学留学ではなく文化交流留学です。アメリカンフィールドサービス(以下AFS)という団体で、もとはこれは第1次世界大戦のときに傷病兵を助けるボランティアとして始まった団体で、その後戦争がなぜ起きるのか、ということに関して異文化の相互理解が足りないからではないかということで、文化交流を若い人にさせるという活動をはじめたんです。私は文化交流のホームステイを1年間してきました。その時にホストファミリーもそうですが、ニュージーランドという国がボランティア活動を全国民的にやっていて、それまでの日本での価値観と全然違っていたんです。自然と一緒のライフスタイル、人と人との関係。勉強より重要なことがこの世にはたくさんある、やるべきことはほかにある。

ハセベ ライフクオリティを地域ぐるみで高めている生活、価値観だったわけですね。

秋沢
助け合って生きているのがよくわかりました。学校で24アワーズ断食っていうイベントが全国的にあるんですよ。生徒がクーポンを地域の人に1ドルとか2ドルで買ってもらう。24アワーズ断食します、このお金をアフリカの飢えた子供たち支援の活動に寄付します。そういうシステムなんですね。その断食の間はみんなで学校に集まっていろいろゲームをやったりして一緒に過ごす。24時間水以外は口にできない。みんなで飢餓ということを体験し大人のボランティアがいろいろと教えてくれる。それを全国規模でやる。

ハセベ なるほど日本では、まだまだ考えられないことですね。ニュージーランドは自然を大切にした環境立国で、そういう意味では素晴らしい田舎なんですよね。

30歳のスイッチ

秋沢
帰国してからの大学時代はバブルで浮足立ってて、それはそれで愉しかった。でも、その1年間が強烈に私の中に残っていて、そういう生き方をしたいというのが体のどこかに入ったんですね。だから、AFSの活動のサポートをずっとやってたんです。TBSに就職して、さらにぱっと見、華やかな仕事をやっていたんですが、30歳になったときにこのままじゃいけないなと思うことがあったんです。ニュージーランドでともに1年間を過ごした仲間の一人のスリランカ人が来日して日本の大学院に入っていたんです。彼がスリランカの子供を助ける活動を続けたい、それを手伝ってくれないかと言ってくれたんです。

ハセベ ぼくも30歳の誕生日の翌日に会社をやめるって言ったんです。30になって、カシャってゼロにリセットされた気がして。

秋沢
その感じは似てるかも知れないですね。女子アナってやっぱりちやほやされるじゃないですか。このままだとおかしくなっちゃうんじゃないかと思うことがあったんですよ。

ハセベ
錆びてたスイッチが入る時ってあるじゃないですか。そのスリランカの友達と会ってスイッチが入ったんでしょうね。ぼくも派手な代理店仕事でバブルはじけてもまだバブリーな感じで。でも、それがどっか自分のまっすぐと反する。二次的な喜びばかりで、お金を使って楽しむという世界観で。で、ぼくの母校である青空保育の幼稚園を撮影しに行ったんですが、そのとき、自分の中に昔のことを思い出すスイッチが入った。それでぼくは会社をやめて新しいことをはじめたけど、自分の仕事と両立している人にも興味があるんです。やめてやらないとできないと思っている人が多いと思うんだけど、働きながらもできるんだなって。

スプートニク・インターナショナルとは?
多くの人に異文化を知り、世界に通じる心の窓を持ってもらうことにより、世界平和に貢献していくことを目的に活動。現在、スリランカにおいて、学びたくても学べない子どもたちのサポート活動や、スリランカ国際教育文化交流会館図書室などを運営している。今後、活動をアフリカ・ガーナにも広げていく予定。息の長い活動を続けることが目標。
http://www.sputnik-international.jp/

秋沢
はじめ私が感じたのはアナウンサーだからやってる、やれてるんじゃないのって思われるのがすごくいやで。隠してたんですよ。でもやり始めたらそんなこと心配しているよりもっとやらなくちゃならないことがあると気がついた。

ハセベ
ぼくも同じ。区議だから人気取りでゴミ拾いとかやってるんじゃないかと思われたりする。悪意でね。やっぱりそれは傷つきますけど、気にしていてもしょうがないんだなと思います。

かっこよく生きる

秋沢
芸能界に近いところで仕事をしていると、それなりにものすごく大金を稼ぐ人たちもいるわけですよ。そういう人でも残念ながらボランティアや寄付のようなことをやっていない人が多いでしょう日本では。ハリウッドなんかではとてもナチュラルにやってますよね。彼らは生きるのに何億もいらないんだからもっと有効に使ってほしいって、そうすればもっと地球はいいところになるのにって。それは国際交流でも環境のためでも地域社会のためでも何でもいいんです。日本でもね。だから私としてはスプートニクの活動が広がって、大きな力を発揮できるようになって、テレビやメディアがびっくりしてニュースにしてくれる、そういう風になっていけばいいのになと。

ハセベ
すごく共感しますね。メディアに出てうだうだ言う前に何か実践したほうがいい。そういう姿がクールだっていうことを、僕らが見せられればといつも思っています。

●秋沢淳子(あきさわ・じゅんこ)
アナウンサー
慶應義塾大学法学部政治学科を卒業。
高校時代にAFS交換留学生としてニュージーランドへ1年間留学。1991年TBSへ入社し、アナウンサーとなる。現在『はなまるマーケット内ニュース』などを担当している。NGOスプートニク・インターナショナル・ジャパンの理事としても活躍している。

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ  http://www.hasebeken.net/

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