(『ソトコト』 2007年6月号掲載)
政治家になりたい若者を支援する、若者を政治に直面させる。異色のNPOドットジェーピー理事長の佐藤大吾さんとハセベケン。今回は政治について、語りました。

NPO法人、ドットジェイピー。主に大学生などの若者を議員事務所にインターンとして派遣し、政治への興味感心を喚起することで、次代の日本を担うプロデューサーを育てる、というのが彼らのミッション。政治家とは何か、を考えるとき、地域のプロデューサー、国家のプロデューサーとして捉えるというのはハセベケンの考え方と同じ位相にあります。理事長を務める佐藤大吾さんは大学で学ぶ政治学と実際の政治との違いのギャップを埋めるため、「議員インターンシッププログラム」を提案。現在では東京・愛知・大阪・広島・熊本・福岡・北海道・東北という全国8拠点で展開するという状況となっています。低い投票率、政治離れ。そういわれていますが、一方でこうした動きが高まっていることもまた事実。ハセベケンのような政治家があらわれはじめているというのも事実なのです。

ハセベ
僕なんかも、新しい政治家のモデルでありたいと思うんだけどね、ただ僕を見て勘違いして来る人もいる。まあ楽しくやってるけれど、楽しいだけじゃない。実はけっこう裏ではがんばっているんだよ。

佐藤
実際、若いからって選挙に出た人がみんな受かる訳じゃないよね。20代でも当選する人と落選する人がいる。国政でも地方でもね。ただ若いだけじゃダメ。

ハセベ
やっぱり落選してしまう人はビジョンに欠けているのかもしれませんね。どうやって達成するのか、何かちゃんとした仕掛けがあるのか。聞き心地のいいことは誰にでも言えるけど、具体的に何をどうやるのか。そうしたことを伝える手法も大事だしね。自分はそこが得意だっていう自信があるわけですけれど。

佐藤
伝えることは大事ですね。コミュニケーション能力。特に地方政治は人と人との関係が中心になりますよね。たとえばコンパが仕切れるというような能力が必要だったりします。国政だとちょっと遠くなるけど、地方の選挙では近くて顔が見える。応援してくれたのは誰、というのが目に見える。そこのレベルで人を動かせない人は票につながらないですよね。人間的な魅力がある人は当選する。若いだけでは十分でないと思います。若いというのはアドバンテージだけど、それに加えて人としての魅力が大事です。それが揃ってると、トップ当選率が高くなる。

ハセベ NPO法人ドットジェーピーの卒業生から選挙に立候補する人って、実際にいるの?

佐藤
自然にフィルタリングできているところがありますね。この前の統一地方選挙では30人くらいのインターン卒業生が立候補しました。インターン活動を終えた学生のうち、ドットジェイピーのスタッフになる学生が今全国に180人くらいいて、過去全部あわせると600人くらいになります。このスタッフたちとはとても濃い時間を過ごすので、卒業後に立候補する場合はだいたい把握できるんだけど、インターン卒業生のうち、スタッフを経験せずに立候補する人についてはすべてを把握するのは難しいんだよね。僕たちの知らないところで立候補している人もいるかもしれない。うちの拠点が8か所あって、それぞれ30人くらいのサークルになってます。拠点長は選挙で決めてる。半年の任期です。ちゃんとマニフェストを掲げて立候補する。スタッフたちは「やりたいことをやりたいだけ、責任を持ってやる」というのが原則。「やりたい」と思う人が集まってくるわけだから「やらされてる」というスタッフは独りもいないよね。NPO活動は自発的にやるのが大原則だから、「やらされてる」と思ったらやめるべきだと。ただし、「やりたいことを実現するためにやらなければならないこと」はたくさんある。それは責任をもってしっかりやるべきだろうね。

ハセベ
それに近いね、グリーンバードも。好きなようにやってくれと。だから各エリアによって色がある。ところで、僕は立候補するときに議員さんたちにお会いさせてもらったんだけど、一部の人を除いては、失望してしまいました。みんなビジョンが見えなくて。自分の派に組み入れようとか、そんなところしか見えてこない。インターンに行く人はその点どうなんだろう? あこがれるのかな。

佐藤
市民は政治に対して悪いイメージを持ってるよね。学生もそう。インターン活動を行う前の学生に意識調査を行うと、8割が政治のイメージを「悪い」と答える。それがインターン活動後に同じ調査をすると、今度は政治のイメージを「よい」と答える学生が8割になり、完全に意識が逆転する。インターン生を受け入れる議員事務所は大変な労力をかけてインターン生を育ててくれるわけだし、インターン生に活動を見せるということは何よりの情報公開。メディアを通じて知るスキャンダルにあふれた政治と、自分たちが直接見る議員たちの活動との間にギャップを感じるでしょうし、イメージがあがるのも当然ですね。あとは相対的に上がるということもあります、もとがネガティヴ過ぎるから。あとはインターン後には8割が投票に行くようになります。若年投票率のアップがわれわれのミッションだと思ってるんですよ。そのために議員の近くに行く。

ハセベ
それがプロモーションなんだね。ぼくらもそうだといいな。掃除をすればポイ捨てしなくなる。それを感じること、善くも悪くも。ただゴミ拾いが楽しい、渋谷が楽しいという人はいるけれど、そこから大きな公を考えていく発想にいく人といかない人がいる。その発想をつくっていくこと、その道を見せることが僕らの仕事なんだとわかってきた感じがするよ。

●佐藤大吾
NPO法人ドットジェイピー理事長。
(1998年設立。http://www.dot-jp.or.jp
全国の大学生約200名が中心となり、「若年投票率の向上」を目的に活動するNPO。学生を対象に議員事務所や公官庁にて、政策立案過程や行政について就業体験を積む「インターンシッププログラム」を提供。これまでにのべ2220の議員事務所と5390名の学生が参加。また、ヤフー株式会社が運営する「Yahoo!みんなの政治」(http://seiji.yahoo.co.jp/)への議員・議案情報提供も行う。大阪大学、早稲田大学マニフェスト研究所客員研究員。著書「オモシロキ コトモナキ世ヲ オモシロク」(サンクチュアリ出版)、「タネダミキオでございます」(新潮社)

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ  http://www.hasebeken.net/

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