(『ソトコト』 2007年3月号掲載)
FCバルセロナのエジミウソン選手に会っちゃいました! 若い頃から子供たちのためのボランティア活動を展開。一流のアスリートは、ホンモノの社会活動をやってました。

2006年12月、FIFAクラブワールドカップ出場のため来日したFCバルセロナ。その中心選手の一人エジミウソン選手。日本・韓国で行われたワールドカップで活躍、コスタリカ戦で決めたオーバーヘッド・シュートにはハセベケンも興奮しました。昨年のワールドカップでは残念ながら直前の怪我で出場できなかったのですが、故障と闘いながらも今はバルサのセンターバック、あるいはボランチとしてチームを支える一人です。

ハセベ
初めまして、ハセベケンです。日本でゴミを拾うボランティアを運営しています。日本はいかがですか?

エジミウソン
6回、日本には来ているのですが、今まで行ったことのある35か国くらいの国の中でももっとも美しい国の一つですね。

ハセベ
「エジミウソン財団」の活動についてお聞きしたいのですが。

エジミウソン
プロになる前から、子供たちのために何かできないか、と考えていました。ブラジルには大変貧しい環境があります。そんな中、子供の頃からみんなサッカーをするんですが、場所がなかったり、やりたくてもできない事情があり、私自身が子供時代に苦しんでいました。サッカーを楽しめるところが提供できれば子供たちがサッカーに熱中でできる、これはサッカー選手にならないとしても、人生にとってすばらしいチャンスだと思ったのです。そして私自身がプロとなり活動をしていくなかで何をするべきかがどんどん明確になっていき、今の形に結実しました。

ハセベ
具体的にそうした活動を固めるにあたり何か手本はありましたか?

エジミウソン
ブラジル代表の先輩たち、ライー、カフー、ジョルジーニョといった人たちがやはりボランティアや子供たちの支援活動をしていました。彼らとコミュニケーションを取りながら、いろいろ考えてやりましたね。

ハセベ
これからどんな風に発展させていきたいですか?

エジミウソン
かなり先のことにはなると思いますが、子供たちがいろいろ学べる環境をつくりたいですね。19歳、20歳くらいで何か仕事をする道に進むことが可能になる準備ができているような施設を造りたいです。

ハセベ
そういう活動って照れがはいったりしませんか?若いうちからはじめるにあたって。一歩踏み出すのは自然だったですか?

エジミウソン
ブラジルは貧しく、私はサッカーのおかげで貧しさから踏み出しいろいろなことを観察し理解できるようになりました。サッカーで成功すれば家族を養うことができるということ。だったら、子供たちにも同じチャンスが与えられるべきだと、ごく自然に考えられました。恥ずかしいとか、そんなことは一切考えずに、ボランティアや社会的な活動に目を向けることができました。

ハセベ
うーん、日本では、ゴミ拾いボランティアをやっていても若い人に参加してもらうのがなかなか難しいところがあるんです。

エジミウソン
私の理解しているところでは、日本は長い歴史がありマナーを大切にする国だと思います。礼儀正しく、親切です。ただ、実際にその歴史や礼儀といった精神的な部分を本当に理解して、いいものを尊重できている若者がどれだけいるか、ということになるとおそらく難しいのだと思います。なにしろこれだけ恵まれていて、世界中からいろいろな情報が入ってくると本質が理解しづらくなってしまうことはありますよね。社会で行われている問題点を直視して、結果としてそこから何が生まれるか、自分はどうしたらいいのかを理解することが大事だと思います。

ハセベ
現在、財団の活動はどういう段階にきていますか。

エジミウソン
実際に学校を造るとなればお金がかかります、市のオフィシャルの人たちや市民たちとも話をしなくてはならず時間はかかりました。でもかたちになりつつあります。ついこの間FCバルセロナの財団から3年間のサポートを得ることが決まりました。夢を持つということは実現に近づけるんだ、と改めて感じています。

ハセベ
さきほどの話にもありましたが、世界のサッカーのトップの選手の人たちは、そうした社会的な活動に積極的ですよね。

エジミウソン
国にもよりますがそうですね。ブラジル出身の選手はみんな活動的です。それぞれやっていることは別なわけですが、それでもお互いにつながっています。

ハセベ
地域に貢献するってとてもいいことですよね。

エジミウソン
もともと私たちがその地域に生まれるまでの歴史があったわけです。その流れの中で、たとえば私たちが描いている夢にみんなが賛同してくれることが大事です。5年後10年後、自分たちの子供たち、その後の世代まで町をすばらしいものにしていきたい。そういう意識が大事だと思います。

ハセベ
ボランティアにはチャンスがあったら参加したいと考えている人がすごく多いと思うんです。彼らにメッセージはありますか?

エジミウソン
日本は世界のどこと比べても恵まれていると思うんですが、それでも問題はありますよね。それを感じたら損得抜きで感じたままに行動することが何よりも大事なんじゃないでしょうか。私もそうしています。形はどうでも、それが誰かのためになるのなら、一緒にやりましょう。

●ジョゼ・エジミウソン・ゴメス・ジ・モラレス
サッカー選手 FCバルセロナ/ブラジル代表/DF
1976年7月10日ブラジル生まれ。ブラジルのサンパウロ、フランスのリヨンを経て現在はリーガ・エスパニョーラのバルセロナに所属。CBでも守備的MFでもプレーできる守備のスペシャリスト。2006年にはバルセロナの経済援助を受けて、故郷であるサンパウロから330キロ離れたタクアリチンガという町の7歳から17歳の子供たちを支援する“セメアンド・ソーニョス”(夢づくり)基金と名づけられた基金を設立した。

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ  http://www.hasebeken.net/

←back