(『ソトコト』 2007年1月号掲載)
ターニングポイントを迎えたプロ野球。第二のブレイクスルーの実現は地域密着から。今回のゲストはハセベケンの地元で頑張る東京ヤクルトスワローズの元投手矢野和哉さんだ。

渋谷区にある神宮球場。2006年で80周年を迎えた。そこにフランチャイズを構えるのが東京ヤクルトスワローズ。古田プレイングマネージャーのもと、F-PROJECTと呼ばれる、「チームとファンの新しい関係を創造する」プロジェクトを立ち上げて奮闘している。たとえば神宮球場の周辺である渋谷区、新宿区、港区を主な対象に地域密着活動を行ってきた。green bird、渋谷区議会議員ハセベケンも、この活動に協力してきた。気持ちいい秋空の下、ハセベケンは神宮球場におじゃまして、ヤクルト球団の販売促進部係長である矢野和哉さんにお会いした。

ハセベ
現役当時、矢野さんがここで投げるのを見ていたんです。緊張します。プロの投手はあこがれの的ですからねえ。さてF-PROJECTも二年目に入ったわけですが、どうですか?

矢野
昔はシーズン中はプレイに専念だったんですが、それではファンから見た選手の価値が上がらないということが分かりました。それにファンサービスは選手を育てるんです。

ハセベ
なかでも子供たちへの働きかけは重要ですよね。

矢野
スカウトをやっていた当時、一人のアスリートができあがるまで実にたくさんの人に育てられているということをつくづく感じました。子供たちを育てるにあたって、私たちの地域での活動が役に立てばと思っています。地域の大人たちと我々がサポートできるような仕組みを作りたい。イベントをやるにしてもそういう内容を組み込んでいきたいということを自分は考えています。その辺のチャレンジはこれからですね。

ハセベ
矢野さんはやっぱり、子供の頃から球は速かったんですか?

矢野
そうですね、それを大人の人たちにほめられて、やる気になって、プロを目指すまでになりましたね。

ハセベ
でも、最近はキャッチボールする場所も無くて、子供が大人にほめられるチャンスも減ってしまいました。

矢野
練習見学というのはやっていまして、古田監督の協力で積極的にね。子供たちに見学してもらって、キャッチボールしたり。今の選手たちはそのあたりの意識はとても高くてしっかり協力してくれます。

ハセベ
そういうことを子供たちは一生忘れませんよね。いずれ子供の頃からずっと球場に来ていたという選手が出てくるといいですよね。

矢野
選手がなんで良いプレイができるんだろう、どういう顔でどういう環境のもとでやっているんだろう、そういう細かいところを見てもらうことで感性を育てていくこともできると思うんですよ。向上心も出るでしょうし。

ハセベ
いいですねえ。今までサッカーのほうが地域密着は進んでいたんですが、ヤクルト球団はそれに劣らず頑張ってらして、球界をリードしていくことになると思います。

矢野
神宮外苑は国立競技場、秩父宮ラグビー場、軟式野球場とあって、日本の歴史の中でも国民の運動状態を良化しようという国民体育大会の発祥の地でもある。野球だけじゃなくスポーツを楽しむ子供たちがここに集まる形を取りたいんです。

東京ヤクルトスワローズではこれからもプロスポーツチームとの提携事業を強化するとともに、選手の学校訪問や地元商店会、警察、消防、プロスポーツ球団が共同実施する“青山スポーツ祭”の運営、さらに都立青山高校とは単位授業、シブヤ大学においては寄附講座を提供するなど教育機関との連携など、さらなる“東京”地域密着の地域貢献活動を展開していくという。

ハセベ
そうですね、神宮外苑は日本のスポーツの聖地なんですよね。

矢野
表参道があって、風景もいいじゃないですか。スタジアムにはスポーツのテーマがある。地域の人たちとともに、他の球団には無いものを作っていきたいと思いますね。

ハセベ
ぼくも神宮の前で生まれ育って表参道でゴミ拾い活動して、Fプロジェクトのお手伝いをするのは必然だという気がしてきました。スポーツって誰しもノーって言いません。今の世の中問題たくさんありますけれど、スポーツから手を付けていくというのが一番成功事例を作りやすいと思うんですよ。

矢野
練習見学のときにスポーツマンシップって何だろうってことをまず問いかけるんです。相手を尊重することルールを尊重すること審判を尊重すること。それを最初に教えると彼らはきちんと選手のことを思いやってきっちりしたマナーで練習見学してくれる。選手が何を思って練習しているのか、感じ取ってくれる。だからまずそれを教えてあげることが必要だってことを肌で感じましたね。エデュテーメントという側面をもっと育てていきたいですね。

ハセベ
選手にとってもすごくいい話ですよね。子供たちも育つけれど、選手の側も育ちますよね。

矢野
それは本当に重要ですね。どういう風にしたらうまくなるのか、ということを子供たちに教えると、自分自身はどういうタイプの選手なのか、ということも分析し出すんです。そうすると、チームの中での自分のやるべきことも分かってきて、レベルアップにつながるんですよ。現役をあがった後に自分の生き方をどう組み立てるか、という能力もついてくる。

ハセベ
現役を引退した人が地域で第二の人生をスタートできる、ということになるとそれもいいですね。お店を出したり。小さいコミュニティが生まれてくるといいと思うんですよ。元選手のバーが表参道や外苑前にできたりというように。

 

●矢野和哉(やの・かずや)
株式会社ヤクルト球団 販売促進部 係長
1962年大阪府生まれ。報徳学園、神戸製鋼所を経て、1985年ドラフト4位で東京ヤクルトスワローズに入団。アマチュア時代に肘の手術を経験したプロ野球選手としては史上初の快挙。ヤクルトで7年、台湾で1年のプロ野球選手生活を終え、1994年ヤクルト球団スカウト部に所属。11年在籍後、販売促進部に異動し、地域貢献事業を担当。神宮球場と外苑前駅を結ぶ道路を歩行者天国とした「青山スポーツ祭」をプロデュースするなど幅広い地域貢献活動を展開している。

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ  http://www.hasebeken.net/

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