(『ソトコト』 2006年10月号掲載)
渋谷を拠点に社会へ向けてメッセージを発信するNPO、コンポジション。そのリーダー寺井さんとハセベケン、ライバルであり良き仲間である二人が熱く語るNPO運営の真実。

「同時期くらいにNPO活動を渋谷区をベースにはじめたから、最初からちょっと意識していましたね」
  KOMPOSITIONのリーダー寺井元一さんは言う。KOMPOSITIONは「若者の可能性を最大化する」という理念のもと、さまざまな活動を行っているNPO。たとえば街の壁をグラフィティのキャンバスに替える、「リーガルウォール」。不法、無軌道な落書きをなくすことにもつながる運動だ。それから、美竹公園にあるマイケル・ジョーダン、ナイキによる「ジョーダンコート」の管理を渋谷区から委託されている。その他企業のCSRや社会貢献活動の企画運営や、フリーターなど若者についての情報提供など、いろいろと活躍中だ。

ハセベ
でも一時期はちょっと苦しい時期もあったんだよね?うちに来て、いろいろと話をしたよね」

寺井
green birdは、すごくうまくいっているように見えたんですよね。やっぱり、運営資金のこととか大変だし、泣きを入れてしまった。ちょっと愚痴を言って申し訳なかったです。もっと余裕を持てよ、って心配してくれて、励ましてもらいました。

ハセベ
あのときは心配してたんだけど、今じゃ売り上げずいぶんあるみたいじゃない。

寺井
おかげさまで何とか、やっていける状態になりました。

ハセベ
第二の創業、って挨拶はがきが来て、何だ、僕らよりもうまくいってるじゃん、ってだまされた気持ち。それは冗談だけどね(笑)。同じNPOとしてとっても嬉しいよ。寺井君は早稲田の大学院に行ってたわけでしょ。そういうところからNPOを立ち上げてくる若い連中が成功していくというのはとても大切だと思うんだよね。

寺井
一時はホームレスやってましたからね。まあ家賃が払えないほどお金がなかったわけじゃなくて、趣味のホームレスでしたから、都市型ヒッピーってやつですけどね。今でも楽ではないですけどね。

ハセベ
green birdも最初はぼくが個人で250万円くらいは負担していたんだよね。もう完済したけど。でもまだまだ、「NPO長者」になるにはほど遠い。今4年目で、2期目の3年計画に入ったところだから、あと2年でもっと上に持っていかないと、と思ってます。

寺井
海外なんかでは、NPOをやってる人間が年収2000万円とかって、珍しくないんですよね。まあいつかは僕も……。でも2000万円あっても使い道がないかも。

ハセベ
そんなことないよ、いくらでもあるよきっと。

寺井
ぼくたちもとりあえずはつぶれないでやっていけそうになったんで、これからやりたいことをやっていこうと。渋谷から情報を広げていく、というのはやはり効果的だということもわかりましたからね。まあそれでもまだまだ広がってないのでこれからですが。

リーガルウォールプロジェクトとは?
渋谷を中心に若者への支援活動を行うKOMPOSITIONによる、公園から民間のビルまで、街の壁をボランティアで清掃し、合法的な壁画キャンバスとして再生する活動。グラフィティをはじめ、幅広いアーティストに活動&評価の場を提供している。これまでに渋谷センター街をはじめ、5か所にて活動の実績があり、渋谷の宮下公園などでは定期的な清掃ボランティアも実施中。
宮下公園でのBUFF(清掃)活動を月例で行っている。

ハセベ
うちが食われるかもっていう勢いになってきたもんね。でも広げていくための根を作っていくのが大変なんだよね。green birdは今度歌舞伎町支部もできてこの間そうじをやってきたんだけれど、ほんと歌舞伎町で働くいろいろな人たちが来てくれた。すごく面白い。

寺井
そのへん、着実に広がっていますよね、green birdは。僕はとにかく食えない仲間を生かすということをやっていきたい。あきらめてる奴を、生き返らせたいんですよ。例えば映画なら、作りたいけど作れない、見てくれる人がいないとか言ってる奴にちゃんと作らせてあげたい。そしてそれを人に見せるチャンスをつくりたい。リーガルウォールもそういう発想からです。

ハセベ
なんかリアルなところでのソーシャル・ネットワーキング・サイトみたいな機能が作れるといいかもしれないね。でも若い人の中から、IT長者とか起業とかじゃなくて、NPOに来る人もこれからもっと増えてくるといいと思うんだけどね。やっぱり、代替わりしていかなくちゃダメだと思うし。

寺井
まあずいぶん認知されてきたとはいえ、まだまだNPOは怪しいと思われている部分はあると思うんですよ。

ハセベ
もっと企業との協力を進めて、大きなイベントをやったりしていきたいんだよね。来年は5年目になるから、ap bankとか、A SEED JAPANとかとももっとしっかりと組んでいろいろやれればな、と目論んでる。社会に関わる、というのが一番大事なんだよね。それも楽しく。ゴミ拾いなんて地味なことがなにやらイベントみたいに見える、楽しそうに見える、かっこよく見える。そして世の中をいろんな意味でハッピーにしていく。それが、大きな意味でのエコロジー運動につながると思ってるんだよね。

寺井
ぼくらは運営が大変だったこともあって、活動それぞれでいうと中途半端な部分もあったと思うんですよ。美竹公園のそうじを今年green birdとやりましたよね。あのときはすごく面白かったし、大真面目に世の中にいいことをやっていこう、って改めて思えるようになったことに気づいたんですよ。少しだけ余裕が出てきたということですかね。それで、第二の創業って言ってるんです。

ハセベ
これからも一緒に、もっと大きなうねりをつくっていけたらいいね。

●寺井元一(てらい・もとかず)
NPO法人 KOMPOSITION代表理事
1977年9月13日兵庫県生まれ。96年私立灘高校卒業後、早稲田大学政経学部に入学。2001年に同大学を卒業後、同大学院に入学。政治学を専門に、若者の価値観と投票行動の関連を研究する。学生時代に3年間、某衆議院議員の事務所にボランティアスタッフとして従事。その後、02年11月6日、NPO法人KOMPOSITIONを設立。大学院を中退後、KOMPOSITIONの運営に専念するようになる。

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属。
ハセベケン事務所ホームページ  http://www.hasebeken.net/

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