(『ソトコト』 2005年12月号掲載)
サーフィンの神様は、極上のオーラで包んでくれた。どうしたらより幸せな地球になることができるのか、ハセベケンはジェリーさんのコトバがもつパワーから、その優しい、深い目の色から、しっかりと感じ取ることができた。

ハセベ
NPOの活動を3年前、自分が30歳になったころからはじめました。20代までは広告代理店にいたのですが。ジェリーさんは30歳のころはどんな思いでどんなことをしていましたか?

ジェリー
30年くらい前のことになりますからね。今とはまるで違う世界だった気がします。そのころは社会的な、そして環境的な危機はあまり報道もされず認識もされていませんでした。今はみんなが心配する時代になっていますが。私はいつも自然と一緒におりましたので、環境に問題が生じているということを知り心配も深めていました。その後技術はものすごく進歩して、よい方向に向かっているように一見見えますけれど、実はすごく大事なエリアが退化してしまっているんです。それはマインドのエリアです。世界の危機的な状況は、われわれ人間の自我のもたらしたもの、ということが理由の一つとしてあります。この惑星に今起こっている問題点を直す方法としては、それぞれみんなが心を変えることだと思っています、あなたが心を変えたようにね。

ハセベ
なるほど。確かに心の問題は深刻になっていますね。

ジェリー
メンタルな弱さというのが今までないくらい世界中に伝染しているような気がします。アルコール、ドラッグ、そういったものを使いすぎています。解決の手がかりとはならず、事態を悪化させています。心はネガティヴで弱く、混乱しています。ポジティヴなものに取って代わって、こうしたことの中に置かれてしまっています。これを変えなくてはいけません。自分を鍛えて、心と体を自分なりにコントロールできるようにしないと。そうしたらいろいろなことが見つかるはずです。

ハセベ
どうすればピースが見つかるか、ということを話すと悲観を語る大人が多いんですよね。こうやっていけばピースになる、という提案がなかなか感じられない世の中だと思うんです。ジェリーさんの生き方、考え方はポジティヴで若い僕たちにはとても参考になります。

ジェリー
サーフィンとヨガが教えてくれました、今も学び続けていますが。自然には変わらないルールがある。それにしたがって生きるということ。バランスは自ら見つけるものだ、ということ。もしもバランスが取れていれば、人はポジティヴになれます。

ハセベ
その言葉、いいですね!ところで、何度も日本にはいらしていただいていますが、日本に特別な思いはありますか?

ジェリー
日本は大好きです。日本のことはいろいろな面について非常に高く評価しています。日本人は心や頭を西洋人よりもたくさん使っていると思います。頭がいい、とかいった意味ではありません。西洋人が無駄にしてしまっている頭と心のパートを日本人は凄くよく使っています。禅の修行などがいい例ですが、主な目的は精神性を呼び覚ますことです。そこが大好きです。文化も好きです。みんなどうやったら人と仲良くなれるかをすごくよく知っている人たちだと思っていますね。日本に住んでいると気がつかないかもしれないけれど、アメリカから来るととてもよくわかりますよ。

ハセベ
それはぼくも自分の活動の中でわかる部分があります。ボランティアで掃除を続けていると、毎日同じことをして、それを繰り返して続けている。そうすると言葉では言い表せない何か、ちょっとした哲学のようなものが生まれてくる。気がつくものがありますね。日本人だからどうか、というのはわからないけれど、掃除と禅とは遠くないんじゃないかと思うんです。

ジェリー
絶対そうだと思いますよ。名前は掃除でも禅でも、頭の中は同じなんです。感じることが大切なんです。

ハセベ
そうなんですよね。一度掃除して感じてくれると、二度とポイ捨てしないんですよ。今日は鎌倉支部の発足の日だったのですが、ビーチクリーンに100人を超える人が来てくれました。

ジェリー
日本のビーチは、70年代にはじめてきたときよりもずいぶんきれいになって、最近驚いてるんです。

ハセベ
そうですか、今でも汚いと思ってました。

ジェリー
昔はひどかったですよ。ビーチはきれいさを求めに行く場所なのに、なんでこんなことをするのか、ってほど。海は平安を見つけられる場所なのになんでゴミを残すのか。今はだいぶましですよ。

ハセベ
若者たちへのメッセージをいただけますか?

ジェリー
ダライ・ラマが言っています。「この人生はすごく短い。だから一生懸命平和を見つけないと。そしてこの平和を誰かとシェアすることによって、人生の本当の意味が見つかる」とね。ぼくはこのことを信じています。

ハセベ
シンプルだけどとても本質をついてますね。

ジェリー
そう、シンプルだけどとても深いコトバですね。自然界は凄くシンプルで、だからこそ美しいんです。理解するのも本当はとても簡単なことなんです。こんがらがっているのは人間のほうでね。感情や想像力があちこち行っていろいろなことが駆け回りすぎて。でも自然を見ればピュアで、シンプルで、美しいんです。自然のようになろうと思うことが大切です。

●ジェリー・ロペス
レジェンド・サーファー。1948年米国ハワイ生まれ。14才でハワイ州ジュニアチャンピオン、1972年にはマスター・オブ・パイプライン受賞。その固有のスタイルとマインドで、世界中のサーファーから『波の上で瞑想をするサーファー』、あるいは『神』とさえ呼ばれている伝説のサーファー。1999年には、全米にて、SIMA(Surf Industry Manufacturers Association)主催の、海とその環境に最も貢献した人物に贈られるアワード『WATERMAN OF THE YEAR '99』を 受賞。現在はオレゴンの山中に居をかまえ、大自然の中のスノーボードも堪能している。

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属(統一会派:未来の渋谷をつくる会)。
ハセベケン事務所ホームページ  http://www.hasebeken.net/

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