(『ソトコト』 2005年7月号掲載)
エネルギー問題や、エコロジー問題に積極的にかかわっていこうとするミュージシャン、アーティストがはじめたムーブメント、ap bank。その中心となって活動している小林武史さん、この夏は「ap bank fes '05」も開催。今一番熱い波にハセベケンも参加!

ハセベ
あるとき、小林さんから突然メールをいただいたんですよね。会いましょうって。

小林
面白いことをしているなと思ったからね、「環境会議」で読んだんだよね、ハセベさんの活動について。


ハセベ
ap bankのことは知ってはいましたけれど詳しくなかったので、あわてて勉強しました。で、お会いしたらアイデアをいろいろお話ししてくださって、本当に面白かったんです。

小林
ぼくたちの活動もいまほんとうに道の途中ですからね。いろいろな方にお会いしてお話をさせていただいている。相談にのっていただいている状況です。もともと、坂本龍一さんを中心にしたメーリング・リストがあって、勉強会を開いていて、いろいろとぼくらなりにエネルギー問題、エコロジー問題を追究していくうちに、それぞれの問題意識の中からやれることをやっていこうということになって。そして「市民バンク」の活動などをやっていらっしゃる田中優さんにいろいろアドバイスをいただいたりしながら、「ap bank」のプランが具体化して実現したんです。これをファーストステップにして、いろいろな活動につなげていくのがリアルだなと思ったんです。そんな実感を、たとえばMr.Childrenのファンに伝えていくことができれば、と。


ハセベ
でも、やっぱりアーティストという立場でいらっしゃると、どこまで本気なの? とか辛いツッコミを受けることもあると思うんですよね。

小林
それはありますよ。人のことにまでかまっている余裕なんかあるか、という考え方ってありますよね。日本人って、難しいことや公のことはお上に任せてしまうというところが残念ながらあるじゃないですか。社会のことを発言するなんてうそ臭いっていうようなね。僕自身だって、社会的な発言をしていく部分以外に個人の部分は当然あります。家族との生活とかね。そのほうが実感をともなった自分の生活ですよ。お金の問題もそうです。もちろん社会とつながっているものですけれど、個人のものでもある。じゃあ個人として充足していればいいのか。そこでね、たとえばいま自分が死んでしまったらこの金はどうなるんだろう? と考えるわけです。生きている間は自分が管理できるかもしれない。でも死んでしまったら、どう使われるかわからないわけですよね。実は生きている間だって、銀行に預けておいた場合、どう使われるかわからないわけですよ。ゴミの問題にしても、エネルギーの問題にしても、自分は関係ないかというとそんなわけがない。本当はすべてが関係している。でもそうした情報って閉じている。その閉じたものを開いていきたい。わかったふりをして大人をやっていても楽しくない。ちゃんとわかっていきたい。


ハセベ
そうなんですよね。ぼくも、難しいことはわかんないけど、何かやばいと思ってたんですよ。それでgreen birdの活動などをはじめたんです。小林さんに、そんなふうに「何かこのままじゃヤバイ」って感じさせたものというのは、なんだったんでしょう?

小林
社会のスピードが異常になってるなってことはずっと感じていたんです。どうも何もかものルールがお金になってしまっていることとか。最近すんなりわかるようになってきたんですけど、富と権力ってやっぱりつながっていて、金を持っている人はそれを増やしていくんですよ。でも、実はそれって人類にとっては大して意味のないことじゃないですか。非常に短絡的なスパンでの競争にすぎないでしょう。でもそのことによって、あらぬ方向に地球全体がズレていってしまう。人間って、もっと楽しいことを求めていると思うんですよ、本当はね。自己実現の欲求というかね。


ap bank fes'05開催!
http://www.apbank.jp/fes05/index2.html
ap bank主催によるなつんも野外イベント「ap bank fes'05」が静岡県の嬬恋にて開催されます。オーガニックフードを楽しみながら音楽漬けの3日間をすごそう。

ap bank fes'05
日時:7/16(土)〜18(月・祝)
場所:つま恋/多目的広場・スポーツ広場
    (静岡県掛川市)
チケット:ブロック指定 各日8,500円(税込み)
出演アーティスト:Bank Band with Great Atrists
            Mr. Children
お問い合わせ:ap bank fes'05事務局 0180-99-5400
          (24時間テープ対応)

ハセベ
そうですよね。そこのところをアピールしていくために、ぼくは成功例に自分がならなくちゃいけないなと強く思っているんですよ。IT長者みたいにお金をとことん追求するというのではなく、生き方として、楽しくて、貧しくなくて、信頼のおける仕事をして、というふうなね。

小林
ap bankも、あわてて結論として成功しようとかいうことではないのだけれど、やはり何らかの成果は残さないといけない。もちろんアーティストとしての本業があるわけだから、バンクのことばかりはやれないのだけれど、お金やノウハウや、あと人材の育成とかいったことでのアウトプットはしっかりとしていかなくてはと思っています。人材を育ててつなげていくことが、一番かもしれませんね。そのために、今年の夏の「ap bank fes'05」で方向を示していくのが当面の課題だと思ってます。


ハセベ
人材を育てるのは本当に難しくて、そして大事なことですね。僕自身は、自分は実行部隊だと思ってますから、ゼロから一を作り出す。一を十に育てていくのはまた別の仕事かなとも思ってます。

小林
ただ最近思うのは、ハセベさんももっとロックな感じに戻ったほうがいいかもしれないよ。ちょっと、「イイ子」になっちゃってるかも。ゴミって本来、触りたくない、排除したいものじゃない。それにどんどんアクセスしていくってそもそもすごいロックな行為じゃない! そのことのラジカルさをもっと感じさせてほしい気がする。


ハセベ
あ、「イイ子」になっちゃってますか? それは似合わないなあ、我ながら……。

(次号につづく)

●小林 武史(こばやし・たけし)
音楽プロデューサー。今までに、サザン・オールスターズなどを始め多くのアーティストを手掛け、Mr.Childrenに関してはこれまでの全作品をプロデュースしている。95年には自身のプロジェクトとしてMY LITTLE LOVERを始動させ、現在も数多くの作品をクリエイトし続けている。他にも、岩井俊二監督の映画とのコラボレーションや、櫻井和寿と共に立ち上げたap bankやBank Bandの活動など常に広いフィールドで音楽と向き合っている。

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/ NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属(統一会派:未来の渋谷をつくる会)。 ハセベケン事務所ホームページ: http://www.hasebeken.net/

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