(『ソトコト』 2005年6月号掲載)
今年で7年目を迎え、別所哲也さんと東野正剛さんが中心になって開催されている『ショートショート フィルムフェスティバル』は、人と原宿、そして世界と原宿をつなぐ媒体となって発展してきた国際短編映画祭。何を隠そうパリ支部設立の日も近づいてきたgreen birdにとっては、良き先輩であり、良きライバルでもある!? 「“カッコイイ街”から“クールな日本”を発信したい」と頑張る気持ちは同じなのだ。

ハセベ
ラフォーレミュージアムで開催される映画祭に合わせて一緒にそうじをしていただくようになって、もう今年で3回目ですよね。

別所
ホントですね。作品を出品した監督たちにも声をかけて来てもらってるんだけど、昨年は「拾うゴミがなくてキレイだったよ」なんて感想も聞きましたよ。


ハセベ
そうですか。なんか嬉しいような寂しいような……。でも、ココがキレイになっても他の場所もキレイにしていきたいですから、いろんな街へ行きたいと思ってます。実は、近くパリへ転勤する予定の日経の関口君が、現地で活動したいって言ってくれてたりもするんです。

東野
パリ支部発足ですか!、先を越されちゃいましたね。フランスには僕たちも拠点を作りたいと以前から考えていたんですよ……。


別所
東野くんはもともとフランスでショートフィルムと出会ったんだよね。

東野
学生時代の話です。クレルモンフェランという田舎町で世界最大の短編映画祭が毎年開かれるんですよ。今は巨匠といわれる監督たちにもこの映画祭出身の人が何人もいます。


別所
その後、今から7年くらい前になるけど、彼はアメリカでショートフィルムを撮ってた。偶然にも僕が映画の撮影でロサンゼルスに滞在していたのと同時期だったんですよ。現地では、僕もショートフィルムに対するそれまでの先入観が覆されるという経験をして、30分に満たない映画でも力強くて感動的なメッセージを伝えられるってことに衝撃を受けた。日本に帰ったらその驚きやおもしろさをみんなに伝えたいと即座に思いましたね。


ハセベ
最初のフェスは99年でしたから、帰国後わずか1年くらいですよね。準備は大変だったんじゃないですか?

別所
大勢の人の力を借りましたけど、原宿の街にも本当に感謝しています。歴史的な場所でありながら新しい、そういう日本の代表的な街が映画祭を受け入れてくれてくれたことが心から嬉しかった。企画の段階で町内会の皆さんに説明を聞いていただいた時も、僕たちの「おもしろいことをやりたい」っていう熱意をちゃんと理解してくださって。新しいモノを拒むのではなく、変化を楽しむっていう生き方をしてる街なんだなあと思いました。カッコイイ街ですよね。


ハセベ
いやあ〜、そんなに褒められると僕のことじゃないんですけど、なんだかうれしいですね〜。でも、それは僕らも日頃からすごく誇りに思っているところです。

東野
地域との密接な関わりについては、各国の映画祭に学ぶところが多いです。カンヌ、ベルリン、ベネチアの世界3大映画祭でも、地元社会での映画祭の役割がちゃんと確立されてる。行政や企業によるサポート体制もしっかりしている。それに、期間中は名の知れた映画人が世界中からたくさんやってきて街中を歩いているわけですから、運良くそこに出くわせば彼らと茶飲み話も可能なわけです。市民と観客と映画関係者が何の隔たりもなくつき合えるのが映画祭の魅力ですよね。映画を知らない人も映画を知り、作品を通して他国のことを考える、またとないチャンスです。


ハセベ
さらに、毎年同じ場所で開催されるとなれば、その地域の人々の関心はどんどん高まりますよね。継続していくことが大事ですね。

別所
そのとおり! 実は、僕はショートショートがもっともっと地域に定着して、ずっと先までながーく続くには、子どもたちのバックアップが必要だと思うんです。これから先、日常生活で映像コンテンツに触れる機会はさらに増えていきます。映像を正しく読み取る力がないとうまく生きていけないといっても過言ではないと思います。だから、今の子どもたちには、映像を理解して楽しむスキルが文章の読解力と同じくらい大切なモノなんですよ。


東野
クレルモンフェランでは審査員を子どもたちが務める部門がありますよ。他人の作品を評価するのって大人でもすごく難しいのに。日頃から映像を解釈する訓練ができていて、とても成熟した感覚を持っているんですよね。

短ければ1〜2分の映像でも映画の魅力がいっぱいに詰まったショートフィルムは、日本でも気軽に自由に楽しめる身近な映像芸術として認められつつある。今年の映画祭も例年通りラフォーレ原宿で6/29(水)〜7/4(月)開催予定。また、昨年に続いて2度目となる『ショートショート フィルムフェスティバル アジア』ではベトナム戦争終結30周年を記念した特集上映を予定している。

●ショートショート実行委員会/http://www.shortshorts.org TEL:03-5214-1233

別所
日本の子どもたちも今のうちにそういう能力を身に付けてくれたら、本を読むように映画を観てくれるようになると思う。映画祭のレベルは徐々に高くなっていくだろうし、地域にとっても重要性が高まると思いますよ、きっと。渋谷区議会議員のハセベさん、何か一緒にやりませんか? 子どもたちが作る映画のプロデュースとか、クールでしょ? 考えてみましょうよ。ね?


ハセベ
確かに。うん、必ずやりましょう! 来年まで待ってもらえますか?

別所
もちろん! 来年も再来年もまた来ますから!


ハセベ
嬉しいです。楽しみです。今後ともよろしくお願いします!

●東野 正剛(とうの・せいごう)
兵庫県生まれ。カリフォルニア州ペパーダイン大でジャーナリズムを専攻。卒業後、3年間の渡仏。以後、ロサンゼルスでショートフィルムの制作、ハリウッド映画の製作に携わる。1997年からは関西の多言語ラジオ局 FMCOCOLOでヨーロピアンポップスを中心とするワールドミュージック番組のパーソナリティ担当。同時に、「大阪ヨーロッパ映画祭」の実行委員長補佐として映画祭の運営にも携わる。2000年に、毎年6月に原宿表参道で開催される「ショートショート フィルムフェスティバル」の事務局長として参加。現在、同映画祭の実行委員長として、第7回目の映画祭を準備中。

●別所 哲也(べっしょ・てつや)
90年、ハリウッド映画「クライシス2050で主演デビュー。その後、テレビ・映画・舞台など多方面で活躍。舞台では、「レ・ミゼラブル」、「ミス・サイゴン」、「ナイン」など多数の話題作に主演。99年より、日本発の短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」(www.short
shorts.org)を主宰。04年、米国アカデミー賞公認映画祭に認定された。
別所哲也公式サイト:http://www.t-voice.com

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/ NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属(統一会派:未来の渋谷をつくる会)。 ハセベケン事務所ホームページ: http://www.hasebeken.net/

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