(『ソトコト』 2005年4月号掲載)
空き缶や空き瓶、ペットボトルのリサイクル。みんなが意識しても、社会のシステムができてこないと、現実的に機能してこない。北欧はこの点でも大先輩。表参道に設置した空き容器自動回収機(RVM)を製造するトムラ社の日本支社長をハセベケンが直撃。

 トゥロン・ヴォーリーさんは、トムラ・システムズ・ジャパン・アジア・パシフィックの社長。トムラはノルウェーの会社で、自動回収機を使ったリサイクルシステムを世界40か国に導入してきたまさにこの世界のパイオニア。トムラ社は去年の10月16日から、住友商事とともに『エコライフ・プロジェクト』として、渋谷区原宿表参道(今年2月28日まで)、クイーンズ伊勢丹笹塚店、足立区北千住駅前(今年1月31日まで)、ライフ竹ノ塚店、新宿区新宿駅東南口、キッチンコート神楽坂店、横浜市泥亀公園、ユニー金沢文庫店に自動回収機を設置。今後も日本中に広めていこうと奮闘中だ。このシステムは、高性能センサーで容器の材質を判別し、回収できない容器、異物などを排除。そしてその場で粉砕したり圧縮したりという処理をする。しかもインセンティブとして、クーポンや当たりくじ、ポイントカードなどのプログラムを自在に組める、といういたれりつくせりの高機能。そしてデザインも美しい。


ハセベ
今回、10月からやってきましたけど、どの程度の人が利用してくれましたか?

ヴォーリー
2万人くらいになりましたね。私が驚き、そしてうれしかったのは若い人たちがたくさん利用してくれたことですね。今回のプロジェクトではじめて、こうしたメジャーな商店街にこの機械を置くことができたのですが、思っていた以上に関心が高く、利用者が多いことを心強く思いました。


ハセベ
なるほど。ぼくは北欧に行ったときに、ほんとうにごく普通に自動回収機が普及していて当たり前に運用されていることにびっくりしました。この点については、日本はやはり相当遅れているといわざるを得ないですね。

ヴォーリー
日本とノルウェーですと歴史も違いますし、国土の状況ですとか産業構造、文化などあらゆる面で違いますね。ですが今回の試みでも思いましたが、これから十分普及すると思いますよ。


ハセベ
やっぱり、クジになってたりすると、受けるっていうのはありますよね。

ヴォーリー
あります。とても大事な点だと思うのですが、やはり何かしらのインセンティブがないと多数の人を動かすことはできないと思います。


ハセベ
確かに、いくらいいアイデアでも、しっかりと回っていかないと意味がないですからね。

ヴォーリー
そうなんです。トムラは1972年に設立されたのですが、最初のきっかけはボトル回収の煩雑さに困ったスーパーマーケットの、簡単に回収できて、回収した数をカウントできる機械がないかという求めに対しいいものを提供したことです。その後いろいろ工夫を重ねて、普及させることに成功したわけです。また、最近は新しいシステムを開発しました。それは「チャリティ・ボタン」というもので、ボトルを返したことで得られる対価をチャリティに回すことができるというものです。


ハセベ
それはいいですね! ぼくも、地域通貨についていろいろ勉強しているのですが、チャリティやボランティアに簡単に参加できるシステムを作るというのは素晴らしいと思うんですよ。いろいろある中から自分で選んで寄付できたりするようなことがいいかな、と。ところで、トゥロンさんはどうしてこのビジネスを選んだのですか?

ヴォーリー
私は以前は銀行に務めていました。この会社に移ったのはやはり環境ということに興味があったからでしょうね。子供のころから自然が好きで、ノルウェーは自然が豊かな国ですし、バード・ウォッチングなんかもよくやっていたんですよ。日本に来てからも時間のあるときには行っています。


ハセベ
渋谷にも素晴らしいスポットがありますよ。明治神宮です。行ったことあります?

トムラ・システムズが開発したペットボトル&空き缶の自動回収機。回収した容器をその場で処理し、小さなスペースで大量の資源を回収・保管することができる。『2004エコライフ・プロジェクト』にて、2月28日まで表参道にもこの自動回収機を核としたリサイクルステーションが実験的に導入された。

(株)トムラ・システムズ・ジャパン・アジアパシフィック
Tel:03-5472-7707
Fax:03-5472-6160
http://www.tomra.co.jp/

エコライフ・プロジェクト:http://www.ecolife.tomra.co.jp/

ヴォーリー
ありますあります。とてもいいですね、たくさんの鳥がいますね。


ハセベ
トムラは世界的な成功を収めていますが、日本ではまだまだエコ・ビジネスでの大成功という例をあまり聞きません。失敗したビジネスもあります。

ヴォーリー
決して日本でエコ・ビジネスがうまくいかないとは思いません。私は10年日本にいますが、この間いろいろなことが変わり、昔と比べると日本の人たちは自然に興味を持つようになり、健康を大事に考えるようになったと思います。だから可能性はどんどん高まっています。ただ、さっきも言いましたけれど、やはり経済的に効果のあるものを提供していかないとダメです。


ハセベ
ただ環境にいいから、ということだけでは人や企業は動きませんか。

ヴォーリー
そうなんですね。今回の試みでも、ユーザーサイドに対してはうまくいってるんです。エコ・コンシャスな人は増えている。でも、企業を動かすとなると、あるいは個人にコストがかかるということになると話が違ってくる。その辺がこれからの課題です。トムラの場合は、トムラの商品、システムを導入することで低コストで高い効果が得られるから選択してもらえるわけです。


ハセベ
うーんなるほど。ぼくたちの運動にもとてもプラスになるお話でした。ありがとうございます。

●トゥロン・ヴォーリー(Trond Varlid)
(株)トムラ・システムズ・ジャパン・アジアパシフィック代表取締役社長。ノルウェーに生まれ育ち、アメリカ・ボストンの大学でMBAを取得。北欧系金融企業のロンドン支店勤務の後来日。シンガポール拠点のインターネットソフトウェア企業副社長を経て、現職に至る。東京在住歴10年、日本人の奥様と男の子2人の4人家族。休日は長野でネイチャーライフを楽しむナイスガイ。

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/ NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属(統一会派:未来の渋谷をつくる会)。 ハセベケン事務所ホームページ: http://www.hasebeken.net/

←back