(『ソトコト』 2005年3月号掲載)
ロックフェスに行けば彼らがいる、A SEED JAPAN。泣く子も黙るゴミゼロナビゲーション担当理事が羽仁カンタだ。昨年、ついに出会ったハセベとカンタ、北欧で見てきたこと、これまで活動してきたこと、あらゆることが繋がって、二人の道がクロスして、今年は歴史的コラボ実現か?

ハセベ
前からもちろん名前は知ってたんだけど、実際にはじめて会ったのは去年の4月だね。

カンタ
成田空港でね。スカンジナビア政府観光局の主催した、北欧視察に一緒に行ったんだよね。前から会いたかったから、お。これがハセケンか、と思った。


ハセベ
話したい人とはなんか、いいタイミングで会える気がするね。なんか、まじめな感じの人が多い視察団で、浮いてたよね。ぼくらはいきなり別行動で、二人でいろいろ見てまわったりしてたし。

カンタ
でも勉強になったね、あの旅行は。実際、北欧の福祉にしても、ライフスタイルにしても、エコロジー運動にしても、話には聞いてたけど具体的にどういう風に運営されているか、見てはじめて理解できたし。老人施設で暮らしている人たちがどんな顔で毎日過ごしてるかとか。


ハセベ
そう。それと、彼らが強調しているダイアローグ、話し合うことの大切さ、それがどう機能するか、それをまざまざと見せつけられたよね。



カンタ
僕にとって衝撃的だったのは投票率。だいたい82〜90%とかあるということ。


ハセベ
最近85%で少し下がってるんだ、なんて話だからね。残念ながらぼくが当選した渋谷区議選は38%くらいだった。日本の投票率の低さは本当に深刻だね。

カンタ
北欧では多くの人が参加して社会をつくっている、その意識が強いわけでしょう。
カルマル市の市長さんが、政治家は汚職なんてとんでもない、市民がちゃんと監視しているからできるわけがないって言ってたけど、日本の政治の現実とはちょっと差がありすぎて、すぐに参考にしたり応用したりといったことにならないと思っちゃった。


ハセベ
でも希望はあると思うんだ。たとえば女性の社会活動への参加。北欧はほんと、男女半々で、ことによると女性のほうが多かったりもする。この辺は日本も参考にできるところかもしれない。ローカルの政治って女性のほうが向いているかもしれない。とにかく、北欧の女性たちは生活に根ざしたところから社会参加していて、実によく発言するよね。

カンタ
とにかく、自分たちのことを自分たちで決めるという意識ね。日本では、年金のこととか、実に大問題なのに関心がなさ過ぎると思う。


ハセベ
せめて7割くらいの人間が投票というかたちで政治参加しないと、自分たちの社会とはいえないでしょう。green birdとしては、ゴミを拾う、ゴミを捨てない、ということを運動としてやっていきながら、だんだん変わっていくようにしていきたい。劇的に変わる、というのは無理じゃないですか。東洋医学的な、というか、じわじわと変わっていく、そんな感じ。

カンタ
そうだね、コトバでわからせる、というのではなく、感じてもらえるムーブメントがいいよね。それで、20年経ったらもうぼくたちの運動なんかなくなってる、そういうのがいい。


ハセベ
それはいえてる。目標は、ゴミなんか落ちてないからgreen birdももうやることがないや、そんな社会を実現することだね。

カンタ
考えてみれば日本もずいぶん変わってはきている。1996年ごろから、少しずつ感じてきた。ぼくはアメリカで勉強して帰ってきて、日本の市民運動の世界に何のしがらみもなかったので、黒船みたいな感じで何でもやったんだけど、しがらみがある人たちはけっこう大変だった。年功序列とかもあったり。当時はまだまだ敷かれたレールを歩くのが勝ちみたいな社会だったけど、今は違うでしょ。


ハセベ
若い連中はすごくいいとぼくは思ってるんだよ。

カンタ
そうね。いいと思う。でも、現象面ではまだまだというか、悪くなってるのが悲しい。コミュニケーションがとれない、人を傷つける言葉や暴力、殺人、まだまだ多い。どこか分断されている気がすることがある。


ハセベ
確かに、どうしようもないな、と思う連中もいるね。

カンタ
ただ、社会に参加しようという人間がマスになれば全体がかなり変わると思うんだ。


ハセベ
どっちにしたって、0か100か、という話じゃないからね。

カンタ
やっぱり、劇的じゃないけど変化するという道だよね。たとえば戦争で空爆とかすると劇的じゃない。街は破壊されて、それから違うかたちに復興される。でも空爆された社会は変わるけれど成熟しない気がするんだ。非暴力は劇的な物理的破壊や建設は起こさない。でも、確実に人を、社会を質的に変化させる。


ハセベ
NPO、NGOでいろいろ活動してるわけだけれど、やっぱりビジネスとして成立させないといけないと最近つくづく思うんだよね。

カンタ
そうだね、NGOはたとえば助成金とかいろいろ財源があるわけだけど、事業、サービスでお金をもらうのがよりフェアだと思う。評価もされる。ODAなんかも、NPOがやるほうがいいんだよ、実際。無駄なことをしないし、現地にしっかりと根づいた活動もできる。


ハセベ
NPOを魅力のある職業にしたいよね。今年はタイアップというか、コラボレーションで何かやろうよ。

カンタ
いいねえ、green birdとガチンコで活動するのは楽しみだよ。

●羽仁 カンタ(はに・かんた)
64年東京生まれ。高校卒業後、専門学校を経てアメリカのノースイースタン大学に入学。在学中に環境問題に関心を持つ。91年「A SEED JAPAN」設立。94年よりフジロックフェスティバル、レゲエジャパンスプラッシュなど野外フェスティバルでごみ削減、リサイクルなどの環境対策事業を行っている。主な著書に『NGO運営の基礎知識』(アルク出版)、共著『非戦』(幻冬舎)。
■A SEED JAPAN: http://www.aseed.org/

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/ NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属(統一会派:未来の渋谷をつくる会)。 ハセベケン事務所ホームページ: http://www.hasebeken.net/

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