(『ソトコト』 2005年1月号掲載)
小学校の先生って、とっても大切。子供たちの未来を結構決めちゃう存在です。ハセベケンの母校、渋谷区立神宮前小学校の山田先生は、ユニークなアイデアで子供たちのアートなマインド、エコな感性を育てているサイコーな図工の先生なんです。

 ハセベケンの母校、神宮前小学校。その児童は名づけて「神小KIDS」。この連載でも、サントリーのビール工場に社会科見学に一緒に行きました。環境教育に力を入れている神小では、OBであるハセベケンのgreen birdとコラボレーションして、いろいろな活動をしています。昨年からはじまった「ピカピカケヤッキー大作戦」と題した活動で、今年も神宮前の表参道ケヤキ並木の道を掃除しました。このときには、ケヤキたち一本一本に名前をつけて仲良くなって、一緒に表参道をきれいにぴかぴかにする、という面白くてかっこいい活動をしました。6月16日には「ピカピカケヤッキー集会」を学校の体育館で開きました。green birdの活動についてのちょっとまじめな話や、ゲームをやりました。

 そして、1月には恒例の「神小KIDS表参道MUSEUM」が開催されます。これは、みんなが作ったアート作品の展覧会。それを、表参道でやっちゃうというのだからこれはすごい話。神小の地の利を生かしたほかでは考えられない企画です。

 この企画を立てたのが、図工の山田先生。


山田:
はじめてハセベさんと会ったのは、まだ、green birdができてなくて、原宿表参道欅会の青年部でそうじをしてたころですね。ぼくは環境についての活動を、こんな若い人がやってるんだっていうのが驚きでした。ずいぶんハセベさんには影響を受けましたね。



ハセベ:
あのときはほんとファンキーな先生だなって、びっくりしましたよ。同世代だし、ぼくと同じでそうじしてると「罰ゲーム」に見えるタイプじゃないですか。話が合いそうだなって思ったんですよ。なかなかモヒカンの先生はいませんよね。

山田:
児童たちがやっちゃったんですからしょうがないんですよ。


ハセベ:
そうだったんですか?

山田:
表参道だから、ヘアデザイナーたくさんいるじゃないですか。だから、自分がやってもらってたヘアデザイナーさんを呼んで、みんなで髪型をデザインしよう、っていう授業をやったんですよ。ぼくがモデルで切ってもらってたら、子供たちがどんどん切っちゃってどうしようもなくなって、この髪型になったんですよ。


ハセベ:
うわっ、その授業もすごいですねえ。ぼく自身はこの教室で授業受けてたころはあんまり美術とか興味なかったんです。万力をイタズラして動かなくしたりしてたイタズラもので。でも、大人になって広告代理店に入って仕事し始めたら、アートのセンスや知識ってすごく重要だし、やってみれば面白いんですよね。だから、小学生のうちからそういうクリエイティヴなセンスを磨くのって、いろんな意味で重要だと思うんですよ。

山田:
いろいろ考えてるんですよね。どういうことをしたら面白いだろう、子供たちの心に響くだろうって。この街のいいところ、自慢できるところ、恥ずかしいところ、直したほうがいいところなんかを探してきてもらうと作品づくりのテーマが生まれたりします。たとえば拾ったペットボトルを使って花を作る。それをMUSEUMのときに表参道に咲かせるとか。


今年の展覧会テーマは「ドリームエッグ」。学年ごとの作品に加えて、写真の全校児童作品、ケヤキ並木に飾るオブジェ「ケヤッキーに咲かせる神小フラワー」など、神小KIDSの希望と夢をドリームエッグに見立てて制作した作品が、表参道を彩るのだろう。

ハセベ:
ものづくりの面白さとそうじの大切さ、そしてやってみてはじめてわかることを経験してもらう。神小の子供たちは、いい育てられ方をしていると思いますよ。

山田:
机上でのことではぜったいわからないことってあると思うんですよ。体験することが何よりも大事だと。最初からすべてが伝わらなくても、いつかわかってくれればいいですし。


ハセベ:
そうなんですよ。ボランティアって、2割の人はやったことがある、2割の人はまったく興味がない。で、のこりの6割の人はチャンスがあればやってみたいと思っている。そのチャンスさえ作り出せば、大きな力になると思うんですよね。

山田:
子供のころに経験するというのは大きいですね。神小128人のみんながgreen birdと同じようにそうじをしたり、ポイ捨てをしないようにしているんです。これはすごいことなんじゃないかと思うんですよ。


ハセベ:
神小の卒業生が、夏休みに取材に来たんですよ、中学校にあがって、green birdについてレポートするんだって。そうやって、だんだんと彼らの中にボランティアというか、エコロジーや共同体の中での自分たちの立ち位置みたいなものが見えてくる。そういう種が少しずつ育って街がいい方向に変わっていけばいい。ぼくたちもそう思ってやってるんです。

山田:
そうですよね。ぼくは中学校で教えていたことがあるんですが、そのころの卒業生が今度大学を出て図工の先生になるって手紙をくれたんです。うれしかったですね。そうやって子供たちは育っていくんですよね。


 今学年の神小KIDS表参道MUSEUMは2005年1月19日から28日まで。着々と子供たちの作品は出来上がっています。すごいの作るよね、面白い感性だよね、とハセベケンもしきりと感心。山田先生は今日もモヒカンにつなぎのスタイルで、きっちりと子供たちに美術を教え、人生を教え、そうじを教えています。

●山田 和弘(やまだ かずひろ)
1970年東京都生まれ。日大芸術学部美術科卒。93年美術教員デビュー。01年より渋谷区立神宮前小で1年から6年まで、児童におもしろ楽しく、時には超キビシク! 作品という命を生み出す支援をしている。03年からは教務主任という似合わない仕事も行いつつ、特別活動担当としてピカピカケヤッキー大作戦(清掃活動)など、地域や環境に関わる取り組みも行っている。現在、来年1/19から表参道で行われる本校展覧会「神小KIDS表参道MUSEUM2005 ドリームエッグ」の準備にハッスル!ハッスル!

●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/ NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属(統一会派:未来の渋谷をつくる会)。 ハセベケン事務所ホームページ: http://www.hasebeken.net/

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