ハセベ:
JTさんには「green bird」の活動に協賛していただいてます。携帯灰皿「ポッケロ」の「green bird」バージョンを提供していただき、掃除のときなどに配っています。JTの方々とはぼくが広告代理店にいたころからのおつき合い。JTさんがスモーキンクリーンのキャンペーンなどをずっと続けてこられていたことをよく知っているので、企業努力は本当にしていらっしゃると思っているんです。
榎原:
ところが成果が目に見えないと世間は納得してくれません。ちょっとでも吸殻が落ちていれば、一人でもポイ捨てをする人がいれば、全然効果がないように感じてしまう。仕方がないですけれども。ポイ捨てという行為をする個人が問題だと思うのですが、たばこという商品の方に問題があるかのように思われてしまう難しさもあります。
ハセベ:
確かに、たばこを吸ったら吸殻はちゃんと自分で携帯灰皿に入れて持ち帰って始末する、なんていうことは本来当たり前のことですよね。そこいらに投げ捨てるなんてのは言語道断です。でも、やはり法律で規制したり罰金を取ったりするやり方はぼくは違うと思うんですよ。マナーの問題であって、ルールの問題じゃない。
榎原:
やはりたばこにはどうしてもマイナス・イメージがありますよね、現在の世の中の空気ですと。それが、なんでもルールで規制する方向を助長していると思うんですよ。たばこは本来嗜好品で、大人が楽しむためのものです。それを、まるで数個と自体犯罪であるかのようにがんじがらめに、あれはダメ、これはダメ、と言われては、喫煙する人はたばこを真に楽しめない。私たちもスモーキンクリーンのキャンペーンで、吸殻を拾う活動はながいこと続けています。でも、ポイ捨てをしない意識、そのための環境を作っていくということをしなくてはいけないんです。灰皿を各地に設置するというようなこともしていますが、やはりそれでは本質的な環境を帰ることにはならない。やっぱり、携帯灰皿を必ず持ち歩き、それに吸殻は入れて、持ち帰って自宅のごみとしてきちんと処理する。それに、携帯灰皿を持っていればたばこをすることのできるスペースは増えますし、喫煙しない人への迷惑にならない場所も選びやすいわけです。
ハセベ:
携帯灰皿もいろいろと新しいものを作られていますよね。
榎原:
そうですね。アンケートを採りますと、もう携帯灰皿というものの存在は相当に認知されているんです。ただ、知ってはいるけれど使っていない、あるいはフリーで街頭などで配られているのを持ってはいるけれど使っていないという人たちが残念ながらまだ多いんです。携帯灰皿にも、いろいろな選択肢ができたほうが浸透すると思うんですよ。使い捨てのものはやはり寿命も短いですし。ですから、TPOにあわせて、仕事の時に持ち歩くにいいもの、ちょっとカジュアルな格好に合うものなど、いろいろと開発しています。使い勝手と、携行品としての趣味の良さなども考えています。たばこを楽しむというのは人類が古くから持っている文かなわけですから、その文化を私は守りたいんです。Smoker's
styleというメッセージは、そういう意味でもあります。それは、たばこを吸う人とすわない人が共存する文化でもあるわけです。
ハセベ:
実際、喫煙にまつわるさまざまなグッズや、文化史的な挿話がいろいろとあるのにはぼくも驚きました。それに、空気清浄機なども発達してきましたよね。
榎原:
そうなんですよ。もちろん、そうした努力でたばこを吸わない人を守る、ということも必要ですし、危険な人ごみですわないなど、ポイ捨て以外にも当然守るべきマナーはたくさんあります。でも、とにかくたばこは悪、みたいな一面的な見方はどうかな、と思うんです。善か悪か、でスッパリ分けてしまう考え方は危険だと思うんです。
ハセベ:
たばこという商品を扱っている会社として、ポイ捨てなどをなくすためにどこまで踏み込んだコミュニケーションをしていくか、ということはあると思うんですよ。「green
bird」に協賛していただいていることなどはもちろんそうした活動の一環だと思うんです。
榎原:
そうですね、私たちとしても、もっと一般の方々とそうした活動を分かちあえればと思っています。ですから、たとえばお祭りの前に掃除をして、気持ちのいいお祭りを楽しむといったことなど……。ただ、やはり教育の問題、モラルの問題であるわけなので、そのあたりにまで踏み込めるかどうかは一企業としては難しいところもありますね。
ハセベ:
そうなんですよ。ぼくたちのような団体だけでも、JTさんのような企業だけでも、行政だけでも、この問題は解決しないと思うんです。やはり、行政・企業・、そして個人個人が、一体になってはじめて動くと思うんですよね。空気が変わってくるにはそれが必要なんだと思います。
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