(『ソトコト』 2003年11月号掲載)
広告業界出身のハセベケン、「green bird」のシンボルマークやコピーも、仕事で知り合った仲間たちと作ってきた。最先端の若い才能はハセベの運動に何を感じ、何を表現しようとしたのだろうか。

ハセベ:
表参道の掃除をはじめて、頑張ってもゴミを拾ってるだけじゃらちがあかない。たくさんの人にアピールするにはどうしたらいいか、って考えて、それでメッセージを作って発信していこうと考えた。それが「green bird」の活動の最初だったわけです。それで、広告代理店時代以来のおつきあいがあるCMプランナーでクリエイティヴ・ディレクターでコピーライターの「世界の」中村聖子さんと、広告の仕事を一緒にやってきた、今一番寝ていない売れっ子アート・ディレクターでイラストレーターの寄藤文平さんと相談して、名称とシンボルマークを考えたんですね。

聖子:
電話で頼まれて、軽い気持ちでやろうと思ったんだけれどハセベさん、厳しい厳しい。どんどんダメ出されちゃうんですよ。なんだか仕事のときより厳しい感じなんですよ。


ハセベ:
やっぱり本当に伝わるのかどうか、って難しいじゃないですか、こういうことは。

聖子:
最初は、「ゴミコップ」とか出てたのよね。「ゴミレンジャー」とか。


ハセベ:
「green bird」という名前もけっこう最初のほうで出ていた。まあ、やっぱりこれかな、とは思ってたんだけど、いろいろ検討しましたね。結局、やっぱり「green bird」に落ち着いて。それで文平にキャラクターお願いしたんですね。

文平:
ぼくは「ゴミコップ」っていうの、いまはじめて聞いた。それ面白かったのに(笑)。最初はアヒルのイメージだったんですよね。アヒルは害虫とかを食べてしまう鳥だし。でもなかなかこうデザイン的に決まらなくて。ちょっとかわいくなりすぎたり。


ハセベ:
でも鳥人間のイメージも最初からちょっと描いてたよね、隅っこに。

文平:
そう。僕の中では一度ボツにしてたんです。鳥人間の羽の処理が絵的にうまくいかないと思ったから。普通の手にしたらうまくできましたね。人のかたちにしたのは、よかった。あれで、ただのシンボルマークというより動けるキャラクターになってくれました。


ハセベ:
それに、文平のアイデアで男の子と女の子と作ったんだよね。あれもよかった。で、最初は旗にデザインして、それが表参道にひるがえったと。それからポストカードを作ったんですよね。ポストカードはまず聖子さんにコピーをいろいろ出してもらって、それからいろいろと選んで、文平にイラストとデザインをしてもらうという段取り。

聖子:
コピーのほうもとにかくダメが出るんですよ。すごく厳しいクライアント。そもそも難しいじゃないですか、押し付けがましくしたら誰も読んでくれないし。かといってきちんと言わなければいけないことは妥協できない。


ハセベ:
そこのところなんですよね。何しろ当たり前のことじゃない、ゴミを捨てないなんてことは。

聖子:
そうそう。ごく当然のことをアピールしているわけだから。だからこそ、細かい言葉遣いや「てにをは」にもこだわらないと、ダメなんですよね。


ハセベ:
楽しいものにはしなくちゃいけないけれど、ふざけすぎちゃいけないしね。

聖子:
もともとふざけたりしているわけじゃないしね。自分たちも楽しいし人が見ても楽しいけれど、ちゃんと伝えるべきことがしっかりと入っている。そのへんの加減が難しい。


文平:
広告とは違うしね。意見広告なんかは、ちょっと上の立場からある程度押し付けっぽくなっても、それが良いという部分もあるけれど、このポストカードは同じ立場で伝わらないと意味ないし。あんまりかっこつけた感じになりすぎると、逆効果だし。


ハセベ:
そのへんはやっぱり文平のデザインでずいぶんと助かっているよね。今後もこのポストカードシリーズはずっと作りつづけますから。

文平:
レイアウトなんかも広告じゃ絶対やらないようなものにしたりね。雑誌の表4に「green bird」載せた時も、なるべく広告らしくない、すごく中途半端な感じにした。ぜったいありえない、妙に間があいていたり。


聖子:
私もどんなのができあがってくるのか、とても楽しみなんですよ、いつも。


ハセベ:
たまにはイラストが先でコピーがあとっていうのも面白いかもね。

聖子:
それ面白いかも。


文平:
本気? じゃ今度描いてきますよ。


ハセベ:
あ、いいね。やってみようよ。 何よりも、やっているほうが楽しくないと、人なんて集まってこない。「green bird」、はじめたころの熱気がいつまでも醒めないのは、みんなが楽しむこの姿勢があるからだ。伝えることのプロたちが、知恵をしぼって街を社会を刺激しつづける。そのことは確実に時代を変えていくことだろう。

●中村 聖子(なかむら せいこ)
コピーライター。福岡県在住。九州産業大学芸術学科デザイン学科卒業。菓子メーカーの企画・デザイン会社を経て平成2年、株式会社西鉄エージェンシー入社。TOC最高新人賞、ACC特別賞、タイムズアジアパシフィック広告賞金賞他、受賞。
●寄藤 文平(よりふじ ぶんぺい)
イラストレーター、アートディレクター、グラフィックデザイナー。1973年長野県生まれ。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科中退後、博報堂の広告制作の現場に参加。2000年、有限会社「文平銀座」設立。JT大人たばこ養成講座、朝日放送キャラクター、キリンラガービールビジュアル、「海馬」(池谷祐二・糸井重里著/朝日出版社)装丁など。
●ハセベ ケン
渋谷区議会議員/NPO法人green bird代表
1972年3月東京都渋谷区神宮前に生まれる。専修大学商学部卒業。2002年に広告代理店(株)博報堂を退社。その後、ゴミ問題に関するNPO法人green birdを2003年1月に設立。原宿・表参道を中心にゴミのポイ捨てに関するプロモーション活動を開始する。2003年4月に渋谷区議に当選。現在、渋谷区議会議員・無所属(統一会派:未来の渋谷をつくる会)。
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