2004年 6月定例会 未来の渋谷をつくる会代表質問原稿

質問原稿 先日、スカンジナビア政府観光局主催のデンマーク・スウェーデン・ノルウェーの3か国を廻るテクニカルビジット研修ツアーに参加してきました。噂どおり、スカンジナビアの環境・福祉の施策は素晴らしいものでした。昨年のこの時期の代表質問で吉野和子議員がデンマークのカルンボー市に視察に行かれた時の話が出ていました。僕にとっては、初めての議会の中で、一番印象に残るものでした。ホームヘルプ体制の区独自の確立の問題についての部分を、ちょっと引用させていただくと、「デンマークのカルンボー市のあの理想的な状況を、すぐに渋谷で実現できるとは思いませんけど、しかしデンマークではすでに20年前にそれが実現していることを思いますと、かつてあの頃の日本では個室の特養ホームなどとは考えられなかった、そういうことが今現実に実現ができるようになった、そのことを思いますと、このことも決して不可能な話ではないというふうに私は信じたいと思います。」と。吉野議員が強く希望されたホームヘルプ体制の区独自の確立がなされることへの希望に強い共感を憶えたのと、20年前、すでに理想的な福祉政策を実施している国ってどんなところなんだ?実際にどんな施策が実施されているんだ?という気持を北欧に抱きました。そんな思いで、この研修ツアーに参加しました。

実際に、行ってみて感じたことは、日本とは比べものにならない、高い税制度があるから実現できる高福祉制度なのですが、そういった政策が実現するに至った経緯や、その国民性がカッコイイということです。僕が何よりもカッコイイと思ったのは、民意の高さです。市民が社会活動に参加する、発言するというシステムがしっかりできているんです。単に意見をぶつけ、議論をするということでなく、相手を理解し、ダイアローグ(対話)していくことの大切さが多くの人に根付いているんです。会う人会う人が、念仏のようにダイアローグ、ダイアローグと言うのが印象的でした。議論して相手を論破するということでなく、相手を理解し解決策を模索していくこと。これは妥協とは全く違うし、これを共通意識として実践していることは、スゴイと思いました。

北欧から学ぶべき点は、もちろん福祉・環境の素晴らしいハードの部分もありますが、このダイアローグ(対話)にあると感じました。スウェーデンはカルマル市環境局の担当者がこんなことを言っていました。「確かに、私達は以前よりも良いサービスを受けれるようになりました。しかし、この現状がベストだと思いません。私達は更に議論を重ね、よりよいものをつくりだすことが出来るはずです。まず大切なことは話し合うこと。様々な立場にいる人が様々な意見を素直に出し合いながら、そこから新しい道を探り出そうとする『ダイアローグ』の機会を持つことなのです。人が人と話し合うことの中から何かが生まれ、それを分かち合うことができます。環境にしても福祉にしても、それはこの『ダイアローグすること』から生まれた具体的な現象なのです。ですから環境への取り組みや、キレイな福祉施設だけにただ目を奪われるだけでなく、私達が何を考え、何について対話してきたかを理解して欲しいのです。」と。こうした姿勢があるからこそ、福祉や環境への取り組みの意識がしっかりと生活に根ざし、確実に機能しているのだと感じました。世界でも名だたる、北欧の高福祉政策、環境政策、90%を超える投票率の高さなどの原点はここにあると感じました。

また、行政で働く人が自分の仕事に誇りを持っている姿、ビッと胸張って仕事しているんです。自分たちの生活の向上に関わる仕事についていることに強い誇りを持っています。市民としっかりダイアローグして、生活最前線の施策を実施してくコーディネーターとして、その仕事に喜びと責任と誇りを持っています。あたり前だけど、素晴らしいことです。日本では、渋谷区では、どうなんでしょうか。ここは負けているなぁって正直思っちゃいました。

また、もっとも強く共感を抱いたのは、未来へのプラカードを掲げている点です。10年後、30年後、しっかりと目標を掲げているんです。しかもわかりやすい。2020年には、風力発電からの電力供給を30%しようとかビジョンが明確なんです。目標があればそこから逆算して到達戦略をつくれるし、何よりもわかりやすい。日本の行政も目標をもってやってるけど、もっともっと分かりやすく大胆なビジョンを掲げたらと強く思い直しました。有意義な研修ツアーでした。

今回の質問のポイントは大きく3つプラス1つです。ひとつは、区役所の職員がもっとモチベーションを上げて仕事につける環境づくり。ふたつ目は区民の知恵・知識の向上を図り、区政に活用するシステムづくり。3つ目は、未来へのプラカードについてです。

ひとつ目の職員のモチベーションをあげる仕組みづくりです。よく役所って縦割り体質が、問題視されることがあります。「これは所管が違いますから」というコトバをよく耳にします。横でもっと繋がってもらったらいいのにという区民の声も耳にします。たとえば、街の美化については環境清掃部が所管です。でも美化について子ども達に啓発教育をしていきたいとなると教育委員会になります。イベントを実施して啓発活動をしようとなると企画部になるのかも知れません。こうなると何処とどうしたらいいのか、非常に分かりづらかったりもします。こういったニーズにたいして、縦割りでなく、横断型のプロジェクトチームを造っていくことは出来ないでしょうか?ひとつのセクションでその専門性を高める業務も大切ですが、時と場合によっては、2つ以上の異なる業務を兼務し遂行していくシステムは、現在、多くの企業でみられます。これは、仕事の視野が広くなるという点で、従業員の育成にも多大なる効果があります。

また、区役所内の情報の集約もより良いサービスに繋がります。例えば、職員のナレッジの共有を図るため、情報のデータベース化をしていくことは如何でしょうか?以前僕が勤めていた会社では、社員全員がアンケートに答えます。自分の所属するセクションに直接関わらないことでも、自分のネットワークや得意分野を記入していきます。例えば、僕は北欧について詳しいとか、私はゴルフに関しては、プロの友達が大勢いるとか、俺の学生時代、演劇仲間だった奴が、今劇団の主宰となり活躍しているとか、ありとあらゆる情報を集めるんです。区民からある問題提起された時、これは自分の所属する部門だけでは、解決が難しい、助けが欲しいとなった時、その答えに繋がるヒントがこのデータベースにあるかもしれません。また、イベントであるスポーツ選手に講演を依頼したい。どうしようという時、はてはてヒントはないかな?ってコンタクトを取ると、あっ、あの人の知り合いなんだ、じゃ、あの人から繋いでもらおうなんてこともできたりします。これを利用して、職員自ら横断型のプロジェクトチームを造っていくこともできます。これは、職員だけでなく、議員も情報を提供したらもっといいんじゃないかって考えます。

また、プロジェクトチームの中で、区民にいいサービスが提供できたプロジェクトに対しては、区長賞などの褒賞があってもイイと思います。いいことに対して税金が使われ、さらにそれが職員のモチベーションアップに繋がり、更なるプロジェクトの発展に繋がるのならば、何も問題はないんじゃないかと思います。ご検討ください。

今年度より、海外視察が計画されるとのことですが、僕は、これは非常にいいことだと思います。日本以外の国を実際に肌で感じてくること、また感じた人が大勢、行政に携わるということは、いいことだと思います。行政関係者にもっと海外を見て感じてきて欲しいと願う区民は多いと思います。ただ短い期間の視察でも成果はもちろんあがりますが、1年2年の単位で、職員の交換留学などを実践するお考えはないでしょうか?実際に現場で当事者となり業務に触れることで、学べることは多くあるはずです。今回僕が行った北欧の都市で市長や、環境¥福祉の担当者に、仮にこんな話はと問い合わせてみると、そういう人的交流も非常に興味があるとのことでした。姉妹都市提携からもう一歩踏み込んだ提携についていかがお考えか、区長のご所見をお聞かせください。また、これは海外という視点だけでなく、国内の企業に研修にいくということも出来ると思います。ここのポイントは同じ行政だけじゃなく、一般企業がどう考え、どういう施策を実施しているのかにもっと触れる機会をつくることで、バランス感覚のある行政マン育成に繋がると思います。併せて、ご所見をお伺いします。

2つ目の区民の知恵・知識の向上を図り、区政に活用するシステムづくりについてです。先だっての選挙での渋谷区の投票率は約39%です。これは非常にマズイ状況です。このままじゃなんかヤバイなぁって感じている人が大勢います。未来に対し、何ともいえない不安な気持を抱いている感じです。これはいわゆる政治不信の影響と言われますが、これは個人的には詭弁だと思います。僕も政治に携わる人間として、あえて政治家不信と言わせていただきます。この政治家不信に端を発し、一般市民の他人任せ的な責任の放棄が入り混じり、負の方向にスパイラル的に進み、現在の状況を生んでいるんだと思います。昨年の9月議会で申し上げた、「政治とは本来、条例や法律をつくることだけでなく、『自発的な意識のもと、みんなでつくりあげるもの』であるということ。国や地域が個人を補償するという、他人任せ的な考え方ではなく、個人が国や地域を補償しているというんだという意識を持つことが、本当の意味での自立した個人であり、そういった自立した個人のあつまる社会は、理想の社会である」という考え方ですが、区長にも共感したという答弁を頂きました。現状を打破していくには、政治がもっともっと区民の生活に近いものとなり、関心を引くことを目指すとともに、区民ひとりひとりがもっともっと積極的に参加し、ダイアローグできるシステムが必要と考えます。今、必要なのは我々政治家がもっと頑張ることと、区民の意識の変化を生み出す施策の両輪だと思います。ここで、区民が参加しダイアローグできるシステムとは?ということなのですが、実は、これといった区民が区政に関心を持つ、即効性のある解決策は難しいと思います。簡単なことであれば、色んな自治体がすでにやっていますよね。

例えばですが、僕が活動しているNPOで、街のそうじ活動というのがあります。ここでは、そうじに対し一般に参加の募集をしています。始めての参加者から感想を聞くとそのほとんどが、パブリックな場所をそうじすることの爽快感や、街の散乱ゴミに対して、今まで気にならなかったものが気になりだした、もうポイ捨てなんて出来ないといったものです。小さなことですが、立派な社会参加ですし、これをキッカケにもっと社会に関心を持つことになるんです。
きっとこういうことの積み重ねしかないんじゃないかって考えます。このようなキッカケと成り得るスイッチをもっともっとサービスとして提供していかなければと考えます。この例にあげたボランティアそうじという小さなスイッチから、行政が関わることで作れる大きなスイッチを織り交ぜ、実施していくことが、「なんかこのままじゃヤバイよなぁ」とみんなが思っていることへの解決策なのではと考えます。

今回の提案は、現在、区が提供しているサービスの中で、ことぶき学級などの各種教室のビルドアップアイデアです。現在、実施されている各種教室は、おおむね好評と聞いています。こういった教室は、実際に区民の生活に役立つといった面と、行政が提供しているということで、行政を近くに感じられるという面があります。このシステムをさらにビルドアップさせることで、行政サイドから区民ニーズに答えた情報の発信や、コンテンツ作り、研究にまで発展させることが可能と考えます。名づけて。『渋谷区立シブヤ大学』の設立です。これは何も新しい建物を必要とするものではありません。現在ある社教館や、公立校の空き教室、または空きビルなどを活用します。渋谷区中が学ぶ場所で、キャンパスになります。渋谷にも恵比寿にも、原宿にも本町にも、色んなところで色んな講座が開かれます。渋谷ならではの特色を活かし、国際都市感があり、心の豊かさを育み、オシャレな学びの場です。区民の生活ニーズにあった学科が存在します。環境科・福祉科・ユニバーサルデザイン科・服飾科・IT科・ボランティア科などなど色々と考えられます。もちろん講師陣も多彩です。渋谷区内に事務所を構える有名デザイナーから、いわゆる学識経験者までいます。その人達にちょっとこのアイデアを話すと非常に好評です。講師の成り手については問題なさそうです。ここはいわゆる学生だけでなく、いろんな世代が学べる学校です。また、区役所の職員が講師となることもあれば、生徒になることもあります。今までの教室のような短期コースもあれば、研究室も構え、現在区が抱える課題についてのサポートまでも出来る体制です。例えば、区の広報誌をもっと面白いものにということであれば、ユニバーサルデザイン科の力を借りることが出来るし、緑化の施策では、ここで専門に学ぶ学生の力を借りることも出来ます。ここの卒業生の中から区役所で働く人が出てくるいいですね。これは、非常に大胆な試みですが、社会に関心を持つキッカケとなるスイッチの役割としては、大きなスイッチになります。いきなり実施というのは、非常に難しいとは思いますが、渋谷区立シブヤ大学設立検討プロジェクトのようなものを立ち上げて、可能性を探ってみては如何でしょうか?もちろん横断型のプロジェクトチームで、外部からの意見も取り入れます。区長、如何ですか?

3つ目の未来へのプラカードです。例えば、都市計画マスタープランを例にとると、本町・笹塚地域は「安心して快適に住み続けられるまち」初台・西原¥上原地域は「みどりと潤いにある環境を保全し快適に暮らせるまち」などとなっています。マスタープラン自体素晴らしい施策だと思いますが、具体的な数値目標をつけたらさらに太いビジョンとなります。例えば、20年後までの達成目標とし、「安心して快適に住み続けられるまち 数値目標:道路のバリアフリー化90% 年間火災発生件数0件 年間交通事故発生件数0件」にするとか、「みどりと潤いにある環境を保全し快適に暮らせるまち 数値目標:緑比率30%」とか、具体的にすることで、そこから逆算してそれぞれの課題に対し施策を考え、実施できると思います。区民を含め、実施にあたる当事者が分かりやすい目標を持つことができます。これは、都市計画マスタープランだけでなく、住宅マスタープランにもいえることと思います。例えば20年後までに、高齢者福祉施設が区内に20箇所とか、投票率が90%とか、区全体の緑比率を35%とか、保育待機児を0にするとか、理想の未来を具体的に数値化していくことを検討しては如何でしょうか?

最後に、大きく3つとプラス1つのプラス1つです。それはドッグランについてです。昨年の9月の議会で設置の検討について質問させて頂いた時に、区長から「ドッグランについては、都がすでに社会実験として設置しており、利用者や住民の意見を聞いている段階であります。ゲートボールや少年野球のボール遊びなど、様々の公園利用形態の中で、ドッグランをどう位置付けるのか、なお検討しなければならないと考えております。」との答弁を頂きました。その当時、都が実験として設置していたのは駒沢公園と神代植物公園だったのですが、今年度より、代々木公園がドックランとして使用可能な公園と位置づけたようです。こうした都の動きと併せて、渋谷区のその後のドッグランについての進捗状況をお聞かせください。

以上です。よろしくお願い致します。

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